金足農 高橋 高校1号が値千金逆転3ラン「ゆっくり回れるベース一周は最高」

[ 2018年8月18日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第13日3回戦   金足農5―4横浜 ( 2018年8月17日    甲子園 )

<金足農・横浜>8回、1死一、二塁、金足農・高橋が中越えに逆転3ランを放ち、ガッツポーズ(撮影・成瀬 徹)
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 照準は、投手の足元。いつもその練習をやってきた。低く、強い打球で単打を狙った高校通算0本塁打のバットが起こした奇跡。金足農・高橋が8回1死一、二塁で放った打球は、投手の頭を越え、中堅手の頭も越えてスタンドインした。

 「高校初めてが甲子園で、バックスクリーンで、逆転なんて。ゆっくり回れるベース一周は最高でした」

 2―4の劣勢を覆した3ラン。直前、伝令の菅原天に「初球、思い切り自分のスイングをしろ」と言われた。返した言葉は「叩いてくれ」。気合を入れてほしかった。バチン!と背中に入った一喝。極限の集中力で、初球の変化球を叩いた。「秋田大会(3回戦の能代戦)のサヨナラヒットは吉田が気合を入れてくれた。吉田のために打てた」と笑った。

 ベンチ入り全員が秋田出身。地方大会からレギュラー9人、交代なしの統一感の強いチームにあって、異色なのが高橋だ。他の選手が環境土木科に籍を置く中で唯一、生物資源科で畜産を学ぶ。主将の佐々木大夢は「高橋はそこにプライドを持っていて、試合当日でも動物に餌をあげてから来たりする」と話す。実習があれば練習は居残り。飼育するフナが待つ自宅に戻ると玄関をくぐる前、100に背番号の3を足した103回のスイングを欠かさなかった。

 打のヒーローは「全国の農業高校の代表として頑張る」と宣言した。秋田代表と同時に背負う看板は、誇りだ。 (和田 裕司)

○…金足農が横浜を破り8強に進出した。夏の大会で秋田勢が神奈川勢に勝つのは初めて。秋田勢の夏8強入りは15年秋田商以来3年ぶり。秋田勢は第1回大会の秋田中以来、決勝に進出していないが100回大会で103年ぶりの進出なるか。

 ○…金足農の吉田、高橋が本塁打。秋田勢の1試合2本塁打は97年浦添商戦で秋田商・熊谷豪が2本塁打して以来21年ぶり。

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