金足農 8強 吉田 161球目最速タイ150キロ「自分の力じゃ出せないような秘められた力出せた」

[ 2018年8月18日 05:30 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第13日3回戦   金足農5―4横浜 ( 2018年8月17日    甲子園 )

<横浜・金足農>8回(1死一、二塁、吉田(左から3人目)は逆転3ランの高橋と抱き合って喜ぶ(撮影・大森 寛明)
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 今秋のドラフト1位候補に挙がる金足農(秋田)の絶対エース・吉田輝星投手(3年)が、3試合連続となる2桁14奪三振の力投で、優勝候補の横浜(南神奈川)を5―4で撃破した。高橋佑輔内野手(3年)の3ランで逆転した直後の9回を、161球目に自己最速タイとなる150キロをマークするなど3者連続三振で締めた。ベスト8が出そろい、18日は準々決勝が行われる。

 満身創痍(そうい)の体に力がみなぎった。2―4の8回1死一、二塁で高橋が逆転3ラン。二塁から生還した吉田はベンチ前で抱きついた。

 「9回で1点差なら十分だ。全員三振のつもりでいこう」

 4番・万波をカットボール、5番・内海をツーシームで空振り三振。そして6番・角田には1ボール2ストライクからの161球目で自己最速タイの150キロを計測した。

 「仲間のおかげ。自分の力じゃ出せないような秘められた力が出せた」

 最後は高めの146キロ直球で3者連続空振り三振。「3段階ある」というギアの限界を突破し、こん身の力で優勝候補を撃破した。

 8日の鹿児島実戦で157球、14日の大垣日大戦も154球と一人でマウンドを守った。「疲れて集中力が欠けていた。真っすぐも全然走ってなくて、股関節も痛かった」と5回には130キロ前後まで球速が落ちた。それでも「プライドを捨てないと抑えられない」と実戦の中で工夫をこらした。

 プレートの位置を1球ごとに替えた。左打者へ投じるツーシームは一塁側、右打者へのスライダーは三塁側からと、約60センチの幅を生かして変化を大きく見せた。ときには逆のパターンも選択。これで3試合連続2桁となる14三振を奪った。

 執念だった。「全てを出し切らないと勝てない」と、強力打線相手に縦のスライダーとスプリットを解禁した。打撃でも3回に同点2ラン。「みんなでやろう」と決めていたサッカー日本代表の本田圭佑がW杯で見せた「敬礼ポーズ」を披露した。2点を追う8回の先頭で中前打を放つと、力を振り絞って全力疾走。一塁を蹴って二塁も狙う姿勢を見せて、仲間を鼓舞した。そんな執念が高橋の逆転弾を呼び込んだ。

 金足農にとっては23年ぶりの8強。きょう18日の近江戦を突破すれば、初出場だった84年4強の最高成績に並ぶ。「164球投げたけど、次こそは完封したい」と吉田。34年前は桑田&清原の「KKコンビ」を擁するPL学園との準決勝で、8回に逆転本塁打を浴びた。吉田は「PLの時のお返しだと思った」と力を込めた。秋田大会から1121球を投げ抜いてきた鉄腕は、東北初の優勝旗を狙っている。 (武田 勇美)

 ○…金足農・吉田が横浜戦で14奪三振。1回戦からの奪三振数は14→13→14で、初戦から3試合以上連続2桁奪三振は12年の桐光学園・松井以来6年ぶり15人目となった。また、13奪三振以上に限ると01年以降では吉田が初。連続試合2桁奪三振の最多は前記の松井ら6人の4試合だが、吉田は肩を並べることができるか。

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