ライアン小川 新人王&最多勝当確16勝目 99年上原&松坂以来

[ 2013年9月30日 06:00 ]

<ヤ・D>山田(右)らナインとハイタッチするヤクルト・小川

セ・リーグ ヤクルト4-2DeNA

(9月29日 神宮)
 ライアンが最多勝をほぼ手中に収めた。ヤクルトの小川泰弘投手(23)は29日、DeNA戦に先発し、6回を5安打2失点でセ・リーグ単独トップの16勝目を挙げた。15勝を挙げている広島・前田健太投手(25)は残り1試合に先発予定で、小川を上回ることができないため。ルーキーでの最多勝は、99年の巨人・上原浩治と西武・松坂大輔以来となる。勝率1位も現在リーグトップで、新人王は当確。チームが最下位に沈む中、孤軍奮闘の活躍だ。

 日本のエースから託された思いをマウンドでぶつけた。6回に1点差に追い上げられ、なおも1死一、二塁のピンチ。それでも動じない。94球目。「ゴロを打たせたいと思っていたので、最高の形になった」。外角へのカットボールで多村のタイミングを外し、三ゴロ併殺に打ち取った。

 最多勝が当確となる16勝目。「チームが勝つためにどうしたらいいかを考えた結果、そういう賞がついてくるのが理想。自分のやるべきことをやれば結果はついてくる」。試合後はいつも通りの冷静さを取り戻していたが、右手には確かな手応えが残っていた。

 前日の広島戦(神宮)。練習の合間にオールスターでともにプレーした広島・前田健から「お前が単独で(タイトルを)獲れよ!」と声を掛けられた。同じ15勝で肩を並べていた先輩右腕からの激励に心を打たれた。6回1死二、三塁で打席に主砲ブランコを迎えた場面。2ボール1ストライクとなり、一塁は空いていた。だが「逃げるわけにはいかない」と勝負。結果的に左前適時打で1点差に迫られたが、この闘争心が新人ながらここまで白星を積み重ねてきた理由だ。

 どうしても勝ちたい理由がもう一つあった。春季キャンプで中継ぎ起用の予定だった自身を先発に抜てきしてくれた小川監督の来季続投が決定した。8月3日の広島戦(神宮)で12勝目を挙げてから1カ月間白星から見放されていた9月8日の中日戦(ナゴヤドーム)の試合前。指揮官に「先のことを考えずに目の前の打者を必死に抑えろ」とハッパをかけられた。「そこから吹っ切れた」と4連勝。恩師の期待に結果で応えた。

 これで唯一白星がなかったDeNAから白星を挙げ、セ・リーグ全球団制覇も達成した。広島は残り3試合で前田健の次回の登板結果次第では、小川はこれが最後の登板となるが「次に向けて準備したい」と油断はない。並み居るセ・リーグの投手陣の中で最も輝きを放ったのは、独特なフォームで新星のごとく現れた右腕だった。

 ≪勝利、勝率とも単独1位≫小川(ヤ)が16勝目。新人の16勝以上は99年の上原(巨=20勝)、松坂(西=16勝)以来となり、チームでは国鉄時代の59年北川(18勝)以来2人目だ。小川は勝利、勝率(・800)ともに前田健(広=15勝、勝率・714)を抑えるセの単独1位。ヤクルトの新人が、投手部門のタイトルを獲得すると、72年安田(防御率1位)以来41年ぶり2人目になる。また、ルーキーが勝利、勝率の2冠に輝くと、2リーグ制以降では、80年木田(日)、90年野茂(近)、前出上原に次ぐ快挙になるがどうか。

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