ソフトB 東浜 CS秘密兵器だ 2戦連続勝利で急浮上

[ 2013年9月30日 06:00 ]

<ソ・楽>力投する東浜

パ・リーグ ソフトバンク5-0楽天

(9月29日 ヤフオクD)
 ポストシーズンも任せろ!ソフトバンクの東浜巨投手(23)が29日の楽天戦で今季2勝目を飾った。立ち上がりから走者を背負うが、3回から3イニング連続で併殺でしのぐなど、5回1/3を5安打無失点と粘りの投球を見せた。チームも2連勝で2位ロッテと1ゲーム差。23日のロッテ戦(QVCマリン)でプロ初勝利をマークしたばかりのルーキーだが、クライマックス・シリーズ(CS)の先発候補に急浮上した。

 本拠地最終戦セレモニーが、ヒーローインタビュー代わりだった。秋山監督の計らいで選手全員へマイクが回った。東浜はまず3万7519人の福岡のファンに謝罪し、巻き返しを宣言した。

 「前半は思うように結果が残せず、期待に応えられませんでした。残り試合は少ないですけど、CSでは何とか投げられるよう頑張ります」。拍手が、5回1/3無失点で2勝目を飾った背番号16の背中へと降り注いだ。

 失敗を糧とした。4月18日の楽天戦(Kスタ宮城)ではジョーンズに特大3ランを浴び、5回8安打6失点KO。あれから5カ月。初回2死二塁の場面で巡ってきた舶来砲に2ボール2ストライクから135キロのツーシームで空振り三振を奪った。「2軍でアドバイスをもらい、(ボールを)落とせるようにした」。人さし指と中指をくっつけていた従来のツーシームの指の幅を広げ、内野ゴロを打たせる球から空振りを奪う落差を生んだ。

 目標の投球スタイルは「10安打完封」だ。そんな座右の銘を地でいくような投球だった。5回1死一塁で迎えた嶋には今度は指の幅を狭めた。「インコースで詰まらせるツーシーム」で狙い通りの三ゴロ併殺。自由自在の指の動きで、リーグ覇者を料理した。

 王者にもひるまない投球は「マタドール(闘牛士)」のDNAを受け継いでいる。母方の祖父・安慶名蒲富(あげなかまふ、享年80)さんは闘牛の町、沖縄・うるま市で有名な闘牛士だった。「生まれたころには亡くなってたんですが、おばあの家へ行くと牛の写真がある」。スペインの闘牛と違い、沖縄は牛対牛の闘いだが、勢子(せこ)と呼ばれる闘牛士は1トン近い牛がぶつかり合う間近で鼓舞し、ともに戦う。爽やかな笑顔の下には煮えたぎる熱いハートを秘めているのだ。

 「投げっぷりが良くなった。粘ったね」と秋山監督も褒めちぎる。CSでの先発もほぼ手中にした。連勝で2位・ロッテとのゲーム差は1となった。残りは5試合。「次、投げる機会があればこの投球は生きてくると思います」。胸を張る姿には「自信」の2文字が感じられる。昨秋、3球団が競合したドラフト1位右腕は、救世主と呼べるだけの輝きを放ち始めた。

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