イチロー“答え”のV打「難しいと言ったらファンは失望するでしょ」

[ 2013年4月25日 06:00 ]

<レイズ・ヤンキース>9回2死満塁、2点中前打を放つヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース4―3レイズ

(4月23日 セントピーターズバーグ)
 打撃不振に苦しむヤンキースのイチロー外野手(39)が23日(日本時間24日)のレイズ戦で9回に決勝打を放った。同点の2死満塁で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝したドミニカ共和国の守護神も務めたフェルナンド・ロドニー投手(36)の99マイル(約159キロ)直球を中前へ2点適時打。8回にも好走塁で同点劇を演出するなど2安打と活躍した。地元メディアの厳しい批判にさらされる中、39歳が必死にもがいている。

 本心は目の前で決めてほしかった。2―2の9回。1死満塁の好機をつくったが、7番スチュワートは一邪飛に倒れる。ここでイチローに打席が回ってきた。その初球。大リーグを代表する守護神ロドニーの99マイルの直球を振り抜いた。打球は中前へ。2者が生還した。

 今季初めてのV打。試合後、イチローは「前のバッターで点を入れてほしいですよ」と笑った。だが、その後の言葉には強烈なプライドがにじんでいた。「きょうみたいな日が偶然降ってきたわけではない。それは自分でつかむもの。待っているだけではこないですから」。簡単に「持っている」という言葉で片付けてほしくなかった。

 試合前の時点で打率は2割ちょうど。スロースターターのイチローにとって、4月は微妙な打撃感覚を求めて調整する期間であり、昨年7月まで在籍したマリナーズでは、不調でもスタメンを外れることはなかった。しかし常に勝利を義務づけられるヤ軍では、そんな猶予はない。ここまで4度の先発落ち。打順は初めて8番に降格した。

 39歳の高齢ながら、昨年オフに総額1300万ドル(約13億円)の2年契約で延長。結果が出なければ、地元メディアからは当然懐疑的な声が上がる。「今後イチローを一体どう使うのか?」「2年契約は、球団内で満場一致ではなかった」などの記事も掲載された。

 悔しさは十分にある。しかし難しさはあえて口にしない。「これが難しいと僕が言ったらファンは失望するでしょ」。バットで結果を出すことしか「答え」はないのだ。

 8回には好走塁で同点劇を導いた。1死から昨季のサイ・ヤング賞左腕プライスから右前打。次打者の左前打で三塁を陥れた。盗塁のサインでスタートを切っていたが、浅めの左翼手の守備位置を考えればリスクはあった。「あれは感覚のプレー。打ったところを見ていなくて音で判断した。顔を左に向けた時にたまたまボールが見えた」。一、三塁となり、直後の二ゴロで生還した。

 2安打2打点の活躍も、イチローの地位を不動にするわけではない。5月には右上腕部骨折で離脱している昨季43本塁打の中堅手グランダーソンが復帰予定。常時先発で出場できるかは微妙だ。「きっかけはいつも探しているし、それは何でもいい。こういうことは大きいので力にしないといけない」と決勝打を振り返った。日本では23日に発表された新入社員の「理想の上司」で3年ぶりに1位に返り咲いたイチロー。この日のようなリーダーシップを、ヤ軍ファンも待ち望んでいる。

 ▼ヤ軍ジョー・ジラルディ監督 どんな選手でもシーズンの出だしが良くないときはある。それが年を重ねた選手の場合、周囲が変な心配をすることになる。先週からスイングは良くなっていた。われわれは彼の絶好調時を知っている。このままの調子でいってほしい。

 ≪イチ撃アラカルト≫

 ☆連覇決めた(09年3月23日・WBC決勝・韓国戦)3―3の延長10回2死二、三塁、林昌勇(イム・チャンヨン)から中前へ勝ち越しの2点適時打=写真、共同。不振を乗り越え、侍ジャパンを2連覇に導き「ちょっと一つ壁を越えられた気がしますね」と喜ぶ。

 ☆リベラ打ち(09年9月18日・ヤンキース戦)1―2の9回2死二塁、リベラから右越えに逆転サヨナラ2ラン。「なかなか忘れないでしょうね」。17日ホワイトソックス戦に続く2夜連続のサヨナラ打に。逆転サヨナラ弾は日米を通じ自身初だった。

 ☆親友に贈る(10年6月2日・ツインズ戦)1―1の延長10回2死一、二塁から二塁へサヨナラ内野安打を放つ=写真、共同。試合前に現役引退を表明したグリフィーに贈る一打となり「あの状況で回ってくるのは、僕、持っているでしょ」と笑った。

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