恩人にささげる白星…阪神“一丸”10安打7点

[ 2011年6月29日 06:00 ]

<広・神>7回1死一塁、ブラゼルは左前打を放つ

セ・リーグ 阪神7-4広島

(6月28日 富山)
 天国の恩人にささげる白星だった。阪神主砲のブラゼルが2本塁打を含む4安打4打点。不振に悩んでいた打線も10安打で7点と、一丸となって勝利をもぎ取った。

 「われわれはプロ。全力でプレーするのが、渡辺さんにとっていいことになるのだろうと思って頑張った」とブラゼル。

 どうしても勝ちたかった。この日朝、チームに同行する渡辺長助チーフスコアラーが、富山市内のチーム宿舎自室で心筋梗塞のため亡くなっているのが発見された。試合前の宿舎。真弓監督はナインに訃報を伝えるとともに「動揺はあるだろうけど、阪神の勝利を強く願っていた人。その思いに応えようじゃないか」とゲキを飛ばした。

 左肩に喪章をつけ、ナインは気丈に全力プレーをささげた中で、ブラゼルは2回に先制の6号2ラン。小雨が降る中、最後まで集中力を持続させて5打席目の9回にもソロを放った。ブラゼル自身、打撃不振に苦しむと、渡辺チーフスコアラーに何度も救われてきた。「タイガース、野球が大好きな人だった。朝早くに起きてチームのために情報を提供してくれた」と振り返る。

 真弓監督は「しっかり勝ってもらいたかった。(選手は)力が入り過ぎるかと思ったけど勝ててよかった」と勝利をかみしめた。かけがえのない財産を失ったチームだが、チーム一丸で3位にも浮上した。勝つことこそが渡辺チーフスコアラーへの一番の供養になる。

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2011年6月29日のニュース