ロッテ吉井監督 狙いピタリ「ピギーバック」 投手起用面での引き出しの多さ 次はどんな作戦を

[ 2023年5月27日 08:00 ]

ロッテ・吉井監督
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 耳慣れない言葉に、最初はうまく聞き取ることができなかった。今月23日。ZOZOマリンでのロッテ―西武戦が雨天中止になった。取材に対応してくれたロッテ・吉井監督は、先発予定だったメルセデスがスライド登板するのか聞かれると「明日はピギーバックで」との答え。一瞬「?」となった。

 「ピギーバック」。英語で「おんぶ、肩車」などの意味で、要は第2先発のこと。翌24日は当初の予定通りに左腕の小島が先発し、試合が雨で流れたメルセデスは2番手としてブルペンで待機する。「CC(メルセデス)がスライドというか、小島の後ろに“おんぶ”って感じ。(2人で)9回全部終わらせてくれたら」。指揮官は「あ、でもこれ西武にバレたら作戦が…。まあいいや」とおおらかに笑っていたが、試合はまさに狙い通りとなった。

 その西武戦、先発・小島は6回5安打1失点の好投で5勝目。7回から登板したメルセデスは3回2安打無失点でセーブを挙げ、先発投手2人でリレーする「ピギーバック」は見事に成功した。大リーグでも活用される戦術。現役時代に長くメジャーでもプレーした経験を持つ吉井監督は、特に投手起用の面での「引き出し」が非常に多い。

 18、21日には2度「ブルペンデー」を実施。18日のオリックス戦は8人、21日の楽天戦は6人の継投で、いずれも勝利を収めた。ブルペンデーに備えて17日のオリックス戦では小島に8回を投げさせ、20日の楽天戦は先発・西野が完投。用意周到に準備をしていた。そしてブルペンデーで中継ぎ投手を使ったからこそ、今度は「ピギーバック」でリリーフ陣を休ませる。柔軟かつ、非常に理にかなった投手起用だ。

 チームは首位を快走。記者も「ピギーバック」という言葉を覚えた。吉井監督が今度はどんな作戦を繰り出してくるのか、楽しみにしている。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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