2010年甲子園「最強9番」北大津・村井昇汰さん、「逮捕」で棒に振った3年の夏…「天狗になっていた」

[ 2023年5月19日 17:00 ]

2010年夏、この年の“甲子園ホームラン王”の称号を手にした北大津・村井昇汰さん
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 2010年夏の甲子園でホームラン王に輝いた滋賀・北大津出身の村井昇汰さん(29)が、28日午後7時から放送されるTBSの特別番組「THEプラチナリスト~スターが生まれた伝説の名簿~」に出演する。高校野球ファンを沸かせた2年生スラッガーは、13年がたった現在、何をしているのか。衝撃的な過去を振り返り、当時の思いを赤裸々に語った。

 同番組は、タレントのヒロミと中居正広がMCを務める人気特番の第2弾。日本中を沸かせた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝に貢献した大谷翔平選手や村上宗隆選手さえも高校時代に手にすることができなかった偉業「夏の甲子園ホームラン王」にフォーカスする。過去約40年分をリストアップし、彼らのその後の人生を追う。

 村井さんは、現ヤクルト・山田哲人内野手らスターがそろう2010年、2年生ながら山田をしのいで2本の本塁打を放ち、「ホームラン王」の称号を手にした。高校卒業後、九州共立大学に進学。その後、社会人野球のHONDAでプレーし、現在は建設株式会社の社員として働いている。

 「ホームラン王」という華々しい栄光を手にした村井さん。だが、「甲子園でホームランを打ったことで、人生のどん底でした」と顔を曇らせる。一体、何があったのか。

 「最強の9番」としてメディアに華々しく取り上げられた村井さん。北大津は「公立の星」と呼ばれ、村井さんは「僕の年は全国制覇してやろうという気持ちだった」と振り返る。

 練習には複数球団が視察し、「プロに行けるんじゃないか」と胸を躍らせていた村井さん。だが翌年、村井さんは甲子園はおろか地方予選に出場することもかなわなかった。

 村井さんが3年生になって間もない5月、「北大津野球部員逮捕」の報道が出た。報道によると、道交法違反(共同危険行為、無免許)の疑いで逮捕された。大津市の国道をミニバイクに乗って走行し、信号無視や蛇行運転をして集団暴走したとしている。

 この時、逮捕されたのは村井さんだった。「率直に言うと、暴走行為。遊び程度でバイクに乗って、警察に追われて、逃げた。少年鑑別所に2カ月くらい入った」と当時の状況を説明する。「監督と僕が、夏の大会に出場できないと…3年生の最後の夏を棒に振ったということですね」と、監督とともに出場停止の処分を受けていたことを明かした。

 「甲子園でホームランを打ったことで、簡単に言うと、天狗になっていた」と当時の行為を猛省。「そんなことをしてなかったら、違う野球人生を送っていたかもしれないので…後悔ですね。本当に」と本音を漏らした。

 村井さんが人生のどん底を感じる中、当時の同校監督・宮崎裕也氏は、村井さんの才能を信じて進路を必死に探した。村井さんは宮崎監督の紹介で、九州共立大に進学。社会人まで野球を続けることができた。

 この逮捕によって「一生、野球はできない」と感じていた村井さんは、自分を信じてくれた監督の行動によってプレーを続けることができた。村井さんは「感謝しかないですね」と口にし、大学時代の先輩で現広島・大瀬良大地投手は「上級生になればなるほど、責任感を人一倍感じるようになった姿を覚えています」と、真摯に野球と向き合う村井さんの姿を振り返る。

 村井さんは「やんちゃな道に走ってしまって、事件も起こしたりしましたけど、野球ともう一度新たに向き合う時間ができて…今思うとよかったんじゃないかな」と吐露。エピソードの最後には、高校時代から村井さんを支えた妻も登場し、思いを語る。

 番組では村井さんのほか、過去40年をさかのぼり、各年の「甲子園ホームラン王」の現在と当時の思いを紹介する。

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