今季最多観衆沸かせた! 阪神・森下“伝統の一戦”初安打が同点打 巨人・鈴木康と初対戦も初球強振

[ 2023年5月27日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―1巨人 ( 2023年5月26日    甲子園 )

<神・巨>試合に勝利し、笑顔はじける森下(右端)(撮影・岸 良祐)
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 気持ちが高ぶりそうな場面でも猛虎のドラ1は、冷静だった。2試合ぶりにスタメン出場した阪神・森下が、眠っていた打線を完全に点火させた。

 「真っすぐとスライダー系が中心の投手。どっち(がきて)も対応できるようにしていた。結果的に初球を打てた」

 1点劣勢の7回1死一、二塁。2番手の鈴木康が投じた初球の外角スライダーに体が反応した。打球は三遊間を破る同点の左前適時打。前の打席で左前打でチャンスメークした佐藤輝に加勢し、伝統の一戦では自身初安打となる一打で球場のボルテージを最高潮に引き上げた。

 鈴木康とはプロ初対戦だった。今月の中旬までオリックスに所属していた6年目右腕とは2軍戦での対戦経験はなくても「(球種などの)内容は頭に入れて打席に立っているので。(軌道は)イメージ通りだった」と、一球でコンタクトに成功。気持ちは熱く、心は冷静な背番号1の一振りが、その後の勝ち越しを呼んだ。

 くしくも、この日の3連戦から「伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES~」と銘打たれ、伝統の一戦の起源とされる1936年当時の復刻ユニホームを着用。「特別なユニホームを着てやれるのはすごい光栄。このユニホームを着て新たに心を入れ替えて野球に取り組めると感じる」と、先人を思い結果につなげた。

 この夜も猛虎の勝利を見届けようと、今季最多の4万2615人が詰めかけた。きょうにも今季の主催試合100万人動員を見込む聖地。「最後の一球、一人コールも声が通らないくらい大きい。熱量はすごい」。期待のルーキーが、大歓声を独り占めする。(石崎 祥平)

 ▽伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES~ 16年から阪神・巨人両球団で相互展開するプロジェクト。互いの本拠地で対戦する際に共通ビジュアルや各種演出で盛り上げる。阪神は16~18年にかけて特定のカードで、70年代の「輝流ライン(16、18年)」や48、49年の「黒虎(17年)」をリメークした限定ユニホームを着用。22年は4月1~3日(東京ドーム)と5月20~22日(甲子園)の6試合で、両チームがプロ野球初年度の1936年の復刻ユニホームを着用した。

 ▽1936年の阪神 前年35年12月10日「大阪タイガース」として創設。背番号は伊賀上良平の1番から“いろは順”で割り当てられ、エース兼主砲の景浦将は6番、初代ミスタータイガースの藤村富美男は10番、七色の変化球・米ハワイ出身の若林忠志が18番を付けた。初の公式戦は4月29日、甲子園での金鯱戦で藤村が3―0で完封した。7月、監督が初代の森茂雄から2代目・石本秀一に交代。夏の三都大会を経て、初の本格的なペナントレースとなった秋の6大会で巨人と勝ち点2.5で並んだため、12月9~11日に洲崎で優勝決定戦(3試合)を開催。これが「伝統の一戦」の起源となる。試合は阪神が1勝2敗で苦杯を喫した。

 ▽1936年の阪神―巨人戦 この年4月に初のプロ野球公式戦「第1回日本職業野球リーグ戦」大阪大会が開幕。両軍の公式戦初対戦は巨人が米国遠征から帰国後の7月15日、山本球場(愛知県名古屋市)で行われた「第1回全日本野球選手権大会」名古屋大会での一戦で、阪神(当時・大阪タイガース)が8―7で勝利した。「伝統の一戦」の始まりとなったのが12月9~11日の年度優勝決定戦。9月からの秋季6大会の勝ち点で並んだ阪神と巨人が洲崎球場(現在の東京都江東区)で雌雄を決した3連戦。後に「洲崎決戦」と呼ばれ、阪神・景浦、巨人・沢村の両エース対決で開幕。沢村が3連投し、2勝1敗で巨人が初代王者となった。同年10月に完成した洲崎球場はわずか3年で閉鎖され、「幻の球場」とも呼ばれる。

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