さあプロ野球開幕! 侍・栗山監督から独占メッセージ 世界一の“侍魂”をつないで――

[ 2023年3月30日 05:05 ]

栗の樹ファームでプロ野球の開幕を楽しみに待つ栗山監督
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 世界一の“侍魂”を、世界一の球場からつないでいく――。WBCで侍ジャパンを率いて09年以来、3大会14年ぶり3度目の優勝に導いた栗山英樹監督(61)が29日、本紙の独占取材に応じた。プロ野球は30日に新球場「エスコンフィールド北海道」での日本ハム―楽天で先行開幕する。同球場は選手が最高にプレーしやすい環境で、新たな歴史を刻んでいく「世界一の球場」と断言。ファーストピッチセレモニーでは打席に立つ。

 WBCで奪回した世界一の歓喜の余韻も冷めやらぬ中、プロ野球がきょう30日に開幕する。4年ぶりに声出し応援が解禁される。1952年の阪神―名古屋(現中日)以来、71年ぶりとなる1試合先行開幕。特別な一戦を迎えるエスコンフィールド北海道の魅力について、栗山監督はこう語気を強めた。

 「選手のための球場でもある。それを強く感じる。こんな素晴らしい球場でプレーできる喜び。そこからいいプレーが生まれて、ファンを楽しませる。理想の球場。メジャーの球場をいくつも見たけど、間違いなく世界一の球場だと思う」

 着目したのは環境だ。「選手にとって素晴らしい環境だから野球に集中できるし、当然いいプレーが生まれる。それを見るのがファンもうれしいはず」。この球場で野球ができる喜び。それを得られる環境が整っていると保証した。

 WBCの熱を一過性のものとしてはならない。「(熱を継続するのは)簡単なものじゃない。ペナントレースで、選手たちには命懸けのプレーを続けてもらうしかない」。だから選手たちには「あなた方は野球の伝道師なんです」とこれからの野球界を託して別れた。その“侍魂”が、この球場でならいかんなく発揮できるという信念がある。

 1月5日の竣工(しゅんこう)式で球場施設を入念に見て回った。感心したのはグラウンドの裏のスペースの広さ。「ベンチの後ろのブルペンとかロッカーとか理想的なつくりで、それぞれ部屋も広く数も多い」。天然芝のグラウンド以外も、選手のことを考えて造られている。

 ファンファーストであり、選手ファーストの球場。そこに感じるのが日本ハムというチームの変わらぬ姿勢ともいう。「ダルビッシュや大谷、有原もそうだけど、短い期間でメジャーに送り出している。選手のために、選手の幸せを願って。そういうチームだからこそ造れた球場だと思う。ファイターズの人たちがやってきたことが形になり、表現されている」と指摘した。

 「ローンデポ・パークに雰囲気は似ていると言われている。ここが起点となって日本の球場がどんどん変わっていくはず」。ロッカー室は侍ジャパンが世界一に輝いた米マイアミのローンデポ・パークと同じ円形。選手がくつろげるように日本一広い316平方メートルで、一脚22万円の椅子が40脚並んだ。クラブハウス入り口の扉はあえて重く設計された。「その重みが、1軍の試合に出ることの重み」と関係者は説明する。座席がシアター形式のミーティングルームには「大教室 プロフェッサー・栗山英樹」という名前がつけられた。

 あの世界一の感動が海を越えて、再現されるのにふさわしい球場となった。「今回選手たちの頑張りで野球の面白さ、凄さを伝えてもらった。そういう選手たちがプロ野球をまた盛り上げて、伝えてくれると思う」。侍たちの命懸けのプレーが12球団に波及し、ペナントレースで続くことを願う栗山監督。ファンを魅了する“侍魂”のプレーは、エスコンフィールド北海道から広がっていく。(秋村 誠人)

 ≪歴代優勝監督が集結/セレモニーで打席に≫栗山監督は世界一を手土産に、試合前のファーストピッチセレモニーで打席に立つことになった。投手は06年に日本一に導いたトレイ・ヒルマン氏、捕手は08年から4年間チームを率いた梨田昌孝氏が務める。歴代優勝監督たちによるセレモニーで、新球場での開幕戦を盛り上げる。

 ゲストとして04年の北海道移転後の歴代監督&GMを招待。19年間で、日本一2度、リーグ優勝5度に導いたリーダーたちが集結する。栗山監督は北海道栗山町に自らの手で天然芝球場を造り、自宅も構えて地元に根付いてきた。WBC優勝から帰国後、ファンの前では初めての「世界一報告」となる。

 ▽第5回WBCの侍ジャパン メジャー組はダルビッシュ、大谷、吉田、初の日系侍となったヌートバーの4選手が出場。1次ラウンド(東京ドーム)を4戦全勝のB組1位で通過すると、イタリアとの準々決勝(同)は9―3で快勝。米マイアミでの準決勝・メキシコ戦は9回に村上がサヨナラ打を放ち、6―5で劇的勝利した。米国との決勝は村上、岡本和がアベック弾。8回にダルビッシュが被弾して1点差となったが、9回に大谷が救援登板。最後はトラウトを空振り三振に仕留め、3―2で3大会ぶりの優勝を決めた。

 ◇栗山 英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日生まれ、東京都出身の61歳。84年に東京学芸大からドラフト外でヤクルトに入団。89年に中堅手でゴールデングラブ賞を受賞。90年限りで現役を引退した。プロ通算成績は494試合で打率.279、7本塁打、67打点、23盗塁。引退後はスポーツキャスター、白鴎大教授などを務め、12~21年の10年間、日本ハム監督として大谷(エンゼルス)を二刀流として育てた。16年に日本一。21年11月から侍ジャパン監督を務め、今年3月のWBCで3大会14年ぶりの優勝に導いた。

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