まさに「逆転の報徳」 甲子園史上初のタイブレーク2連勝 準決勝VS大阪桐蔭で昨秋の雪辱期す

[ 2023年3月30日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   報徳学園5―4仙台育英 ( 2023年3月29日    甲子園 )

<報徳学園・仙台育英>延長10回2死満塁からサヨナラ打を放った報徳学園・山増(撮影・須田 麻祐子)
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 友の思いに最高の形で応えた。報徳学園は4―4に追いついた延長10回、なおも2死満塁。打席に向かう山増達也に、直前で空振り三振に倒れた岩本聖冬生が歩み寄った。「おまえなら打てる。頼む」。9回の守備で痛恨のミスを犯していた同級生に「任せろ」と返し、見事に人生初のサヨナラ打を左前にはじき返した。

 「その前まで全然打てていなかったので、良かったという気持ちが一番強かった。“自分に回ってこい”と思っていました」

 ニューヨーク勤務中の父がこの大会のために帰国し、その声援を背に受けながら大役を果たした孝行息子。「プレーで返すしかないんで」。恩返しの一打は、友のミスも帳消しにする劇打となった。

 まさしく「逆転の報徳」、そして「タイブレークの報徳」だ。勝利まであと1死だった3―1の9回2死一塁で、岩本が平凡な中飛を落球。不慣れなナイター照明下の高い飛球で、大角健二監督も「ナイターの練習ができない環境にあるので」とかばったが、このプレーをきっかけに同点に追いつかれた。さらに2戦連続のタイブレークとなった10回表に1点を勝ち越される苦しい展開。それでも伝統の粘り強さを発揮して28日東邦戦に続くサヨナラ勝ちを飾った。タイブレークでの2連勝は、春夏の甲子園大会で史上初となった。

 大角監督の発案で、昨夏の甲子園決勝を部員全員で現地観戦。目の前で頂点に立った仙台育英を、見事に撃破してみせた。31日準決勝の相手は、昨秋の近畿大会決勝では0―1で惜敗した大阪桐蔭。「近畿の借りも返したい」と山増。昨年の力関係も「逆転」させられる勢いと粘りが、今の報徳にはある。(山添 晴治)

 ○…報徳学園が2試合連続でタイブレークの延長戦を制した。同制度が導入された18年春以降、2試合連続でタイブレークに突入したチームは22年春の木更津総合(千葉)の1、2回戦以来、春夏通じて2度目。2戦連続で勝利したのは同初。報徳学園のサヨナラ勝ちは春夏通算11度となり、並んでいたPL学園(大阪)を抜き、中京大中京(愛知)の13度に次ぐ単独2位となった。

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2023年3月30日のニュース