大阪桐蔭・前田 辻内&藤浪に並んだ!同校最多タイ4度目2桁K 初投げカーブで緩急自在

[ 2023年3月30日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   大阪桐蔭6―1東海大菅生 ( 2023年3月29日    甲子園 )

<大阪桐蔭・東海大菅生>1失点完投勝利を挙げた大阪桐蔭・前田(撮影・北條 貴史)
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 準々決勝4試合が行われ、大阪桐蔭(大阪)は東海大菅生(東京)を6―1で下し、2年連続の4強入りを決めた。今秋ドラフト1位候補の前田悠伍(3年)が1失点完投勝利。11三振を奪い、辻内崇伸(元巨人)、藤浪晋太郎(アスレチックス)に並んで同校史上最多となる甲子園4度目の2桁奪三振をマークした。延長10回タイブレークで昨夏王者・仙台育英(宮城)にサヨナラ勝ちした報徳学園(兵庫)は6年ぶり、広陵(広島)は13年ぶり、山梨学院(山梨)は初の4強に駒を進めた。

 大阪桐蔭・前田は、相手の想像を超えていく。「いろんな配球をできたのは良かったです」。今大会一度も投げていなかったカーブを3回までに5球選択。最速147キロを計測した直球は切れ、ブレーキの利いたチェンジアップなど緩急を自在に操って11三振を奪った。選抜では昨春から33イニング連続奪三振で、同校史上最多に並ぶ甲子園4度目の2桁奪三振と格の違いを示した。

 「甲子園は成長できる場所だと思っているので、いろんなことを試せたことは良かったかなと思います」

 8回途中から登板した能代松陽戦に続く2日連続の登板だった。先発を伝えられたのはこの日朝だが、「昨日から気持ちをつくっていた」。4―0の4回に許した中犠飛が唯一の失点。5回以降は、散発3安打に抑えた。

 1メートル80、80キロの引き締まった肉体が連投に耐えられる土台となっている。コロナ禍が分岐点だった。中学3年時、チーム練習が約2カ月間中断。すると、整形外科の先生から体幹強化のトレーニング動画が送られてきた。中学生が簡単にこなせる内容ではない。消化するのに4時間かかるメニューを毎日続け、2時間半でこなせるまでになった。そして練習再開後にはチームメートから「めっちゃ、ごつなってるやん」と驚かれるほどの屈強な体を手に入れていた。

 大阪桐蔭での厳しい走り込みも前向きに取り組む。「しんどいと思ってやるより効果があるはず」。さらに下半身主導の投球フォームが身に付き「夏より疲労感が少ない」。降雨コールドとなった21年夏の東海大菅生戦もボールボーイで体験した左腕。心身両面で、選抜全試合に登板できるだけの準備を積んできた。

 2年連続の春の頂点まであと2勝。「2試合、投げられます」。奪三振ショーの続きを演じる体力は、まだ残っている。(河合 洋介)

 《打線目覚めた10安打》○…28日の能代松陽戦で2安打1得点の辛勝だった大阪桐蔭打線が、10安打6得点と目覚めた。3回無死満塁、4番・南川幸輝が先制の右前2点打で口火を切り、「しぶとく内野の間を抜くような打球を意識した。これまで受け身になっていたが、今日は積極的にいけた」と胸を張った。4―1の5回1死無走者では佐藤夢樹がバックスクリーンへソロ。昨春に選抜史上最多11本塁打を放ったチームが3戦目で今大会1号。佐藤は10打席目での初安打が一発となり、「打てていなかったので、ほっとしました」と安どした。

 ◯…大阪桐蔭・前田が11奪三振完投勝利。これで自身、甲子園通算4度目の2桁奪三振となり、辻内崇伸(元巨人)、藤浪晋太郎(アスレチックス)に並んで同校最多タイとなった。同一大会2度の毎回奪三振完投は97年報徳学園・前田智章以来26年ぶり。選抜では昨春から登板33イニング連続奪三振。

 ◯…大阪桐蔭・西谷浩一監督は春夏通算67勝とし、歴代最多の高嶋仁氏(智弁学園、智弁和歌山元監督)の68勝にあと1勝に迫った。また、選抜は通算31勝となり、中村順司氏(PL学園)に並んで最多タイとなった。

 ◯…大阪勢対東京勢は春夏通算43度目の対戦となり、大阪勢の29勝14敗となった。選抜に限れば87年準々決勝でPL学園が帝京を破って以来、大阪勢が12連勝。大阪桐蔭は東京勢と春夏通算8度目の対戦で7勝(1敗)となり、選抜に限れば無傷の4連勝となった。

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2023年3月30日のニュース