作新学院・高森風我の父・圭介さん 父子で走り続けるアスリート道「まだ一緒に走りたいしね」

[ 2023年3月30日 05:00 ]

第95回選抜高校野球大会第10日・準々決勝   作新学院3-12山梨学院 ( 2023年3月29日    甲子園 )

作新学院入学が決まった高森家の記念写真(右が風我、左が父・圭介さん)
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 【素顔で君にアイラブユー】愛息の待望の一発は、見ることができなかった。作新学院の1番・高森風我(ふうが=3年)が、6回に高校通算16号となる左越えソロ。現役競輪選手の父・圭介さん(45)は、神奈川・小田原競輪場で第4レースの発走5分前だった。

 初戦、2戦目は甲子園で声援を送った。だが、愛息はその2試合で9打数2安打。1番の仕事を果たせず、父の元には「役に立てなかった」とLINEが届いた。この日は3安打2打点。敗れはしたが風我は「自分の一打で何とかしたかった。甲子園のベースを回れて気持ち良かった」と報告を楽しみにした。

 圭介さんは職業柄、自宅に戻るのは月の半分。それでもオフは父子で自転車トレに励む。50メートル走6秒0の愛息の快足は、ともにフィットネスバイクをこいだ成果だ。中学時代は軟式野球に熱中した圭介さん。幼少時にサッカーや水泳もしていた息子から、宇都宮西小3年時に野球一本に絞りたいと聞くと「自分で選んだからには責任を持って、突き進みなさい」と諭した。プロのアスリート。一流を極めるには、強い覚悟が必要なのは痛いほど分かっている。

 昨年9月、レース中に転倒し骨盤を骨折した。担当医からは全治6カ月と言われたが、11月には復帰。「まだまだ現役を続けないと…。ケガと付き合いながらやってます。親子で切磋琢磨(せっさたくま)じゃないけど、まだ一緒に走りたいしね」。「どんな流れの悪い風の中でも我の風にしろ」との思いを込めた風我とともに、まだ勝負の道を走り続ける。(伊藤 幸男)

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2023年3月30日のニュース