侍・今永 WBC仕様「ハイボール」で4回10奪三振!代表戦で自身4連勝、通算防御率圧巻の0.35

[ 2022年11月10日 05:05 ]

侍ジャパンシリーズ2022   日本代表8―1豪州代表 ( 2022年11月9日    札幌D )

<侍・豪>4回を1失点10奪三振の好投を見せた今永(撮影・高橋茂夫)
Photo By スポニチ

 侍ジャパンのDeNA・今永はセオリーである低めへの投球から「高めの直球」に軸を変え、12個中10個のアウトを三振で奪った。WBC仕様の強い「ハイボール」で4回3安打1失点と好投し、代表戦自身4連勝として通算防御率は0.35となった。

 きっかけは捕手・森(西武)の助言。初回を終え「たとえボールが先行しても、ローボールよりもハイボールの方がいいと思う」と話された。

 2連打と味方の失策で1失点したが、打たれたのはいずれも低めの変化球だった。一方で2つ奪った空振り三振は、この日最速の151キロを含む真ん中より高めの直球で、うち24球を高めに投じた。

 2回からは、前日の会見で話した「球を低めに集めてなるべくゴロを打たせるのが鍵」という考えを捨てた。DeNAでは53・9%だった直球を、2回は12球中8球、3回は14球中12球まで増やし、高めに集めた。1次ラウンドの球数制限は65球と見込まれるが、64球まで投げ、68・8%の44球が直球だった。

 高めの直球が有効な背景には、大リーグを発端とした「フライボール革命」がある。角度をつけて高い弾道の打球を狙う。特に米国など大リーガー中心の強豪国に多く、日本より体格で勝るオーストラリアも例外ではない。アッパースイングの打者に対して、高めの直球が効果的だった。

 左腕には「屋外と屋内で直球の質が変わる。自分の感覚でドームは湿度が高い」という考えがある。滑りやすいと言われるWBC球に対しても指はしっかりとかかった。札幌ドームでは6月の日本ハム戦で無安打無得点試合を達成した。WBCの準決勝以降の舞台はローンデポ・パーク。高温多湿な米マイアミのドーム球場で、相性の良さも期待できる。

 高めの直球で奪った三振は5つ。直球44球のうち、バットに当てられたのはわずか7球で、うち6球はファウル。実に20球が空振りだった。「2回以降は(ハイボールを)意識して投げた」。ノーノー左腕の「ハイボール革命」は、来年3月の本大会でも間違いなく武器になる。(神田 佑)

 《今季真ん中高めは被本塁打0》今永は今季のレギュラーシーズンで、最速153キロを計測した直球の被打率が.199。ストライクゾーン内の真ん中高めは18打数4安打の.222で、本塁打は一本も打たれなかった。132奪三振中、直球で最も多い86三振を奪い、高めでは25三振を奪った。

 《プロ参加代表最多19奪三振》日本は3投手のリレーで毎回の19奪三振。プロ参加の日本代表チームでは、15年11月5日の強化試合(対プエルトリコ)で達成した18三振を上回るゲーム最多最多奪三振になった。また、毎回奪三振は19年11月13日のプレミア12・メキシコ戦以来で、その試合の先発も今永(D)だった。

続きを表示

2022年11月10日のニュース