ソフトB・甲斐野 巨漢ホーキンスのバットへし折った 斉藤和コーチの助言で脱力フォーム取り入れ効果

[ 2022年11月10日 05:00 ]

シート打撃でホーキンス(手前)を封じた甲斐野(撮影・岡田 丈靖)
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 ソフトバンクの甲斐野央投手(25)が宮崎秋季キャンプ第2クール2日目の9日、シート打撃に登板し売り出し中のテスト生、コートニー・ホーキンス外野手(28)を8打数無安打4三振に抑えた。斉藤和巳投手コーチ(44)の助言で力みのないフォームに改良し、初球でバットをへし折った。今季、勝ちパターンに定着しきれなかった剛腕が新コーチとともに“復肩”へ歩みだした。

 「グシャッ」と鈍い音が球場に響いた。甲斐野は今キャンプにテスト生として参加しているホーキンスとシート打撃で対決。前日、杉山から8打数で4安打した巨漢スラッガーのバットを、初打席の初球でへし折った。

 「自分の課題だけを考えた。練習の成果はまだまだ足りないが、狙っている方向性は合っていると信じてやっていきたい」

 最速150キロをマークして8打数無安打、4三振。今キャンプから斉藤和投手コーチと二人三脚で取り組んでいる脱力フォームで確実に制球力が上がっている。「力む癖があるので、そこをどう抑えようかと和巳さんと話している。力まなくてもいい球を投げたい」と無駄な動きを省き、力を抜いた状態でリリースポイントまで持っていく。連日、ブルペンで投げ終わってもネットに向かって黙々と投げ続けた成果は徐々に表れている。

 投球術も磨く。5打席目の初球にはクイックで直球を投じるなどタイミングを外し、最後はフォークで空振り三振。背景にはライバル投手陣の姿があった。「監督の立場からすると、使う順位で僕は低いと凄く感じた。みんなはどんどんレベルが上がっている中、停滞している」。今季は27試合に登板し2勝0敗、防御率2・52も優勝が懸かった終盤戦は劣勢での登板が続いた。悔しさが残った。

 最速160キロの剛速球、躍動感といった言葉が似合う甲斐野。日本シリーズで好投したオリックス・宇田川、山崎楓とタイプが似ている。目指したくなるものだが、まずは現実と向き合い「今の技術力ではオリックスの中継ぎ陣には勝ててないし、現段階でホークスの投手にも勝てていない。まずは自分を見つめ直す」。課題の四球減のために手段は選ばない。

 斉藤和投手コーチは「今やっていることを信じてやり続けることでその先に答えが見えてくる。方向性が間違っていないと示してあげたい」と背中を押す。藤本監督は「6、7回を投げて、そこで固定してくれたらありがたい」と勝ちパターン入りを期待している。

 「やるしかない。空回りするかもしれないけど、来年に懸ける思いはプロ入りして一番強い」と甲斐野。来季は5年目。逆襲の秋。挑戦はまだ道半ばだ。(福井 亮太)

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2022年11月10日のニュース