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【北京五輪1年前】紀平梨花、描く未来予想図「限界の構成と完璧な演技」の先に――

[ 2021年2月4日 05:30 ]

笑顔でポーズをとる紀平(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 22年北京冬季五輪開幕まで4日でちょうど1年となり、フィギュアスケート女子で全日本選手権2連覇の紀平梨花(18=トヨタ自動車)がスポニチ本紙の単独インタビューに応じた。出場となれば自身初の夢舞台への思いを語り、自身の究極の演技を見せて世界最高の合計250点超えを理想として思い描いた。また、五輪シーズンの来季は今季のプログラムで挑む可能性が高いことも明かした。(取材・構成 大和 弘明)

 北京五輪まで1年。コロナ禍で不透明な部分は多いが、カウントダウンが始まった。静かに語り始めた紀平の言葉は、熱を帯びていった。

 「今まで人生を懸けてやってきたスケートの最終の目標の場がもう来てしまう。早いな、というか。そこで絶対に後悔したくない。どの試合もいい演技はできたりしているんですけど。それでも学ぶことや、本当にギリギリだったなと思う出来事がまだまだ多い。(五輪は)余裕を持って、どんなパターンでも絶対に自分の実力が出せる自信をつけておきたい」

 シニア1年目の18年GPファイナルで、平昌五輪金メダルのザギトワ(ロシア)らを抑えて頂点に立った。順風満帆な道のりに見えるが、すり切れそうな毎日の連続だった。

 「どの試合も全部ミスするかもしれないくらいの気持ちでやっている。練習でさえも、ちょっと疲れた日は5回くらいミスをしてしまう。それくらいギリギリの中でいつも戦っている。いつボロボロになってもおかしくない。どの試合も後から振り返って“あっ奇跡が起きたな”と思う」

 憧れの浅田真央さんの演技を見て、目標としてきた五輪の舞台。代名詞の3回転半(トリプルアクセル)に加え、昨年12月の全日本選手権で4回転サルコーに成功。五輪のリンクで目指すのは、自身の最大限の演技だ。

 「もちろんメダルを絶対獲りたい。五輪での優勝は昔からの目標なので、それはずっと心の中に持っている。でも、やることは自分の演技。その時になって優勝を意識すると“誰に勝たないと”となってしまう。その時になれば何も考えず、今できる限界は何かなと考えて、五輪までにできる限界の構成と完璧な演技を目指します」

 今季の演目はSP「The Fire Within」、フリーはTVドラマ「コウノドリ」から「Baby,God Bless You」。この2曲で五輪シーズンへ向かう可能性が高い。

 「今回の曲でいくかもしれない。まだ1試合しかこなしていないですし、凄くお気に入りのプログラム。今季、世界選手権であと1回しかやらないかもしれないし、大会がないかもしれない。やはり五輪は安定した滑りが見せられたら。コロナの影響もあって2年連続になるかもしれない」

 全日本選手権では国際スケート連盟非公認記録ながら自己ベストを上回る合計234・24点(SP79・34点、フリー154・90点)をマーク。公認大会で評価を受けるのは世界選手権以降となるが、ブラッシュアップを重ねた先に前人未到の記録が浮かび上がる。

 「自分の完璧なら10点以上伸びると思います。ショートだと80点台後半。フリーも10点くらいは確実に上がるんじゃないかなと。SP80点台後半、フリー160、165点とかだったら…。フフフ。確かに今、計算してみたら250点?とかなのかな(笑い)」

 高難度のフリーでは、3回転半2本や新技4回転トーループ投入も選択肢。全日本での構成をベースに、演技としての完成形を目指す。

 「トリプルアクセル2本という見た目や印象だけにこだわらず、やっぱり点数を稼ぐことを考えたい。4回転サルコーは入れて、奇麗に成功するのが理想。4回転トーループは入れないと思います。練習はして、うまくいったらまた考えが変わるかもしれない」

 開幕まで残り365日。自らを信じ抜いた先に、歓喜の瞬間が待つ。紀平は五輪のリンクに立つ未来の自分へメッセージを送った。
 「今まで頑張ってやってきているから、絶対に自信を持って、とにかく楽しんで。今までやってきたこと、今まで助けてもらった感謝の気持ちを忘れずに、自信を持って演技してください。そう言いたいけど、今はそう言われて“そうだな”と思えるように過ごさなきゃいけない」

 《女子フィギュアの現状 4回転時代に突入、強豪ロシアがけん引》女子は4回転ジャンプ時代に突入した。ロシア勢がけん引しており、トルソワ、シェルバコワが現時点で最高難度のルッツを含む複数の4回転ジャンプに成功。ジュニアのワリエワも4回転を跳ぶ。ただ、4回転はフリーに限られ、SPでは行えない。SPでも投入可能な3回転半を得意とするコストルナヤがルール改正後の世界最高となる合計247・59点を記録。コロナ禍の今季は公認記録となる大会は実施されておらず、勢力図が変わっている可能性もある。
 3月の世界選手権(ストックホルム)で各国の五輪出場枠が決まる予定で、最大枠は「3」。五輪代表争いは紀平、坂本花織、宮原知子の世界選手権代表3人が軸。三原舞依や3回転半に挑戦する樋口新葉、河辺愛菜らも候補で、ジュニアで急成長中の松生理乃もシニア転向すれば面白い存在だ。

 ◆紀平 梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日生まれ、兵庫県西宮市出身の18歳。5歳からスケートを始め、17年全日本ジュニア選手権を制し、シニア1年目の18年NHK杯で日本人初のGP初出場優勝。GPファイナルも制した。19、20年全日本選手権、19、20年四大陸選手権で2連覇を達成。今季からスイス拠点でステファン・ランビエル・コーチに師事。4月から早大の人間科学部通信教育課程に進学予定。1メートル55。血液型O。

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