3月の海に命を思う 凍える寒さと雨の中で得た“恵み”

[ 2021年3月12日 07:04 ]

筆者の次男、淳は95センチタチウオ                               
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 【釣り日和】三寒四温の3月。風こそ弱いものの寒さと雨の中、南六郷・ミナミからタチウオとマアジのリレー釣りで出船した。食い渋りも重なる中、思うのは10年前のこと。(笠原 然朗)

 走水沖の70メートルダチ。「触り」はあるもののハリ掛かりせずタチウオの機嫌はすこぶる悪い。春なのに指先も凍る寒さ。心が折れる。

 東日本大震災の津波で命を落とした人たちのことを思った。海の水は冷たかっただろう、寒かっただろう、怖かっただろうな、と。

 釣りに同行した次男の淳は当時「2分の1」成人。今年、コロナ下での成人式はなかった。だがあの時、命を落とした“永遠の10歳たち”と違って生きて釣りをしている。

 小さな当たりを捉え抜き上げたのは95センチ、指4本幅のタチウオだ。タナは底上15メートル。

 私もモタレを感じ、猫と猫じゃらしの論理で、ジラしながら巻き上げ、コツンという当たりに合わせたがスッポ抜け。船中6人で型を見たのは3人。不調の走水沖に背を向けて安達任伯船長は横浜沖の水深20メートルへ船を転進させた。

 竿はそのままで天ビンと仕掛けを変えるだけ。ミナミは貸し竿、仕掛けなどいずれも無料。タチウオ仕掛けは船長の自作。初心者に優しく、ベテランには楽しい釣り船だ。

 左舷大ドモで釣っていたのは川崎市の古家聡彦さん(46=会社員)。タチウオは釣れなかったが良型のマアジを上げる。釣りは「1年に5~6回」。今回は隣席の友人、阿部弘一さん(46=会社員、府中市)に誘われて乗船した。

 阿部さんはアジのほかに良型のイシモチ。「7年前にスミイカ釣りに連れていってもらってからハマりました。1日をゆっくり過ごせるのがいいですね」。

 マアジは25センチ級の良型ぞろい。餌の青イソメを長めに付けて底上1メートルで待つとイシモチが食ってくる。
 たくさんの命を奪う力を秘めた海は、恵みの海でもある。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、南六郷・ミナミ=(電)03(3738)2639。タチウオ、アマダイ、マアジ、カワハギなどのリレー船も。釣り物、出船時間、料金などは要確認。

 ◯…常総市・原雅祥さん(50)は初挑戦のタチウオで貴重な1匹を釣り上げた。坂東市にある和食店「小名浜」の店長。自ら調理も担当。釣れた魚は店でも提供する。アジフライや刺し身が人気なのだとか。「タチウオは10匹釣ってお客さんに出したかったのですが考えが甘かったです」。100人入る店は、コロナ禍で宴会がゼロになった。それでも食材確保は欠かさない名店長だ。

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