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春が旬 15センチ食べ頃ウグイに万歳“サンショウ” 食べてみるとおいしさの競演

[ 2024年5月4日 04:30 ]

オレンジ色のラインが美しい良型ウグイ。ご当地では食べる習慣がある
Photo By スポニチ

【釣り女子アナの伝えたいこと】 釣りが大好きなアナウンサー・大塚ひとみが、栃木県大田原市の那珂川でウグイを釣った。リリースされることが多い魚だが、ここでは春を旬とし食べる文化がある。そのお味は?取材の模様は動画でもお楽しみいただけます。

 見通しの良い砂利の河原。浅く緩やかな流れには散った桜の花びらが、まとまりながら漂っている。昔の人はこれを「花いかだ」と言った。

 那珂川中流部の那珂川歩道橋下に入釣する。

 「ウグイが“じゃかじゃか”釣れる場所だよ。清流育ち、春は臭みも消えてうまいぞ~」と話すのは地元の釣り名人・山田進さん(66、写真)。今回のお師匠さんだ。そんなにおいしいのか?ちなみに“じゃかじゃか”とは、たくさんという意味の方言らしい。

 まずは餌の調達から。河原の石をひっくり返し、ウグイの大好物である黒川虫を探す。お、早速いたぞ。そこには、吐いた糸で作った巣でとぐろを巻く姿。寝ているところごめんなさいねっ。首に下げた餌箱に10匹ほど入れ完了した。

 今回はミャク釣り。約7メートルののべ竿にウキは使わず、魚信を感じながら釣り上げる。ハリに餌を付け、川上から川下へ流すと、クククンッ。弱いが小気味よい鼓動。上がってきたのは、約10センチのオイカワ。オスで魚体に光沢があり美しい。

 「南蛮漬けにするとワカサギみたいでおいしいよ」。山田さんいわく、ここに食べられない魚はおらず、食べるか食べないかは習慣があるかどうかだそう。私も何でも食べてみる習慣をつけたいな。

 その後、オイカワを2匹追加したが、本命はまだ来ない。名人が教えてくれたのは、岩の裏など流れが緩くなっているところを狙うこと。ウグイが好きで群れている場所だという。

 反応がなければ1メートル川を下って投げる、これを繰り返していると、グングン。今度は大きな当たりだ。竿のしなりとともに、オレンジラインの本命が水面を走ってくる。そして、キャッチ~。タモに入ったのは、約15センチのウグイ。骨までおいしい食べ頃サイズだそう。鮮明な婚姻色が目に焼き付く。春の産卵期ならではの姿だ。調子が出始め、午前中でさらに3匹のウグイを追加。腹が膨らんだ魚体もおり、卵のおいしさも春ウグイの醍醐味(だいごみ)なんだとか。

 そして実食。河原で山田さんが炭火で焼いてくれた。頭からガブリ。おいしい!フワッとした身に、深みのある味。続けて名人が緑色のペーストを差し出した。「サンショウ味噌も付けてみて。昔からこの地域にある食べ方で、家や店によって味が少しずつ違うんだ」

 春に採れるサンショウを味噌にすり込んだものらしい。乗せて食べると、濃い味がスッと爽やかに味変。ウグイとサンショウ、春のおいしさの競演だった。

《地域の貴重なタンパク源》
 ○…この地域の文化に詳しい那珂川北部漁協の漁場委員長・郡司彰さんによると、まだ海の魚が流通していなかった時代、ウグイが貴重なタンパク源だったのだそう。「その文化が残ってこの地域では春の風物詩になっています。ぜひ釣って食べてみてほしいです」と話していた。

 ▼釣況 那珂川北部漁協=(電)090(2625)0744=郡司さん。ウグイやオイカワなど雑魚の日釣り券は1500円。女性は半額。現場売りは3000円。

 ◇大塚 ひとみ(おおつか・ひとみ)1993年(平5)生まれ、千葉県出身。フリーアナウンサー。NHK宇都宮放送局、栃木放送、ウェザーニューズを経てフリーに。釣り歴はカサゴなど小物釣りを中心に20年。

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