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最上流に最上イワナ 台風翌日たどり着いたヤマトのオアシス

[ 2019年7月6日 07:12 ]

これが木曽のイワナ
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】6月末は、予想外に台風が接近しました。なんとこの時、私たちは長野県木曽に釣りに行っていたのです。3カ月以上前から計画を立てていたので変更ができません。ですから釣りにならないほど増水したら、温泉に入って観光してくればいいというぐらいの気持ちで出発しました。

 初日はまだ台風接近中、雨が降りだしていましたが、川はまだ平水でした。カメラマンを含む4人でパーティーを組み、午前8時すぎに釣りを開始しましたが、雨が強くなり昼すぎに撤収。この日はウオーミングアップできればと考えていましたが、イワナが6匹でした。

 駒の湯温泉という宿に入ると露天風呂にいられないぐらいの強い雨になりました。その夜は台風通過です。時間がたっぷりあったため、フライタイイングもして12番の黒のカディスとパラシュートをたっぷり巻きました。

 翌朝、台風は去りましたが、目的にしていた川は危険なほど増水していました。そこで、どこか釣りができる場所がないかと上流へと探しながら回りました。有名河川、その支流群はことごとくアウトでした。

 そして最上流付近に行くと水が濁っていなくて程よく増水している沢がありました。

 谷へ降りてみると十分にフライを振れるほどスペースはありません。チョウチン釣り、ボウ&アローキャストを強いられる、こんなところにイワナがいるの?というような沢でした。

 用意したロッドはパックロッドのJストリーム823―4とMJ4・82(ともに約2・5メートル3番)です。適当な落ち込みに前夜巻いた黒カディスを落とし、逆引きで水面をツツツーと滑らせ、ちょんちょんと躍らせるとすぐにぱしゃっとヒットしました。

 それは20センチ強のヤマトイワナでした。イワナには通常白い斑点が背肩にあるのですが、このイワナにはありません。中部地方上流域にしか棲息していない希少な魚です。同行者たちも交代で釣り上りましたが、ほぼ全ての落ち込みに魚はいて、釣れたのは全部ヤマトイワナでした。

 最近の傾向として、イワナの川は何年も前から「もう魚はいない。取り尽くした」と言われて、釣りに入る人が極端に少なくなるとまた繁殖しているということがあります。ここも多分そうでしょう。復活していたのです。1度食い損ねた魚が2度、3度食いついてくるほどスレていませんでした。何年か前にもこういう経験をしたことがありましたが、希少なヤマトがこんなに簡単に釣れちゃっていいのと思うほどでした。

 同行者の瀬野泰崇さんは「こんなにたくさん天然のイワナを釣ったのは初めて」と大喜び。中村渚さんは「自分で巻いたフライでこんなに釣れてうれしい」と。魚は全てラバーネットですくってリリースし未来に託しました。(東京海洋大学客員教授)

 ◆フィッシングカレッジ 7月15日(祝)、海の日イベントで行います。午後2時から。講義は「魚の基礎知識から、人と魚の知恵比べまで」。フライタイイングやソフトルアー作りの実演も行います。品川キャンパス白鷹館2F講義室で。

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