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アユは百薬の釣 95歳が若返る!!たまらない達成感に寿命が延びる

[ 2019年7月1日 06:26 ]

大自然の中に身を置くことも筆者の健康の秘けつだ
Photo By スポニチ

 【100歳超えても釣りたい!】釣り人にとって、いつまで元気に釣りができるか?は人生で大切なテーマ。きょう1日、95歳の誕生日を迎えたスポニチAPCの太田宗家氏は現役のアユ釣り師。釣り界の長老による新連載がスタートする。

 この時季になると、やたらと元気になります。先日も栃木県那珂川の解禁に出かけました。初日は仲間の釣りを見ていましたが、2日目には支流の余笹川で竿を出しました。川辺の手ごろな石に腰かけて7・5メートルで泳がせ、午前中3時間で3匹でした。十分に堪能できました。
 95歳になりました。長生きの秘訣(ひけつ)は?とよく聞かれます。2つあります。第1はもちろん釣りです。もう1つはお医者です。仕事の都合であちこち移住しましたが、その先々で近くの医師と親しくなりました。そして少しでも具合が悪いとすぐ診てもらいました。そのためか、85歳で毎日新聞の釣り欄をやめるまで一度も入院したことはありませんでした。
 釣りは格別です。毎週のように朝早くから海や川に出かけ、明るいお天道さまの下で、きれいな空気を吸いながら、じっと魚と向かい合う。そして釣り上げた新鮮な魚を家族とともにいただく。長生きできないはずがありません。
 海釣りにも行きたいのですが、船の乗り降りが1人ではできません。川釣りでも遠くまで歩くヤマメ、イワナは無理。いまはアユ釣り専門です。ここぞと思うところへオトリを泳がせると、いきなり野アユが追いかけガツン、グイーッと引っ張る。あの達成感はたまりません。1匹ごとに寿命が延びる思いがします。
 こんな楽しいアユ釣りなのに近年、釣り人が大変少なくなっています。年配者ばかりです。古い人がいなくなり、若い人が入ってこないのです。若い人の間で「アユ釣りはハードルが高くて」ということを聞きます。道具や支度にお金がかかりすぎ、とてもおいそれとは入れない、というのが一番の理由です。たしかにアユ釣り道具は高価です。竿は中クラスでも15万~20万円もします。7つ道具や仕掛けの数々をそろえるとなると並大抵の「ハードル」ではありません。
 それで数年前から仲間とともに、これと思う若い人に、道具一式を貸せるから、と声をかけています。今年は2、3人アユ釣り師が生まれそうです。
 これまでの経験だと、あの素晴らしい感触に触れ、アユ釣りの楽しさが分かってくると「来年は自分の竿で」となってくるものです。業界をはじめ周りが、いろいろと考える必要があると思います。
 この年になってアユ釣りが楽しめるのは、すべて仲間あってのことです。私の仲間は大方が60歳代後半から70歳代です。普通なら家族に世話してもらう年頃なのに、川では逆にあれこれと面倒を見てくれます。言葉では言い尽くせないうれしさです。アユ釣りにはこんな仲間が多いのです。
 これからの楽しみは東北の川です。これまで30年間も通い続けている宇都宮市の仲田邦夫さん(71)が、現地の仲間たちから集めた情報だと今年の日本海は天然遡上(そじょう)が素晴らしく、山形の小国川や赤川、真室川などは期待十分だとか。秋田の皆瀬川も、水量が十分で、遡上は例年より多い、と先日、川見してきた旅館「こまくさ」の主人、佐藤一美さん(60)は話している。新潟・糸魚川の姫川など3川は、増水でやなが決壊、山崩れなどで苦しい。すぐ隣の富山県旭の笹川、小川は小型ながら数が出る。毎週釣っている長野市の浦上博さん(70)の報告です。
 どこへ連れて行ってもらえるのか、なにやら若者になったような気持ちです。また釣行報告をします。(スポニチAPC 太田 宗家)

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