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タイ然自若…枯淡の境地72歳登坂さん デカアマ手にしても…

[ 2017年12月26日 07:25 ]

45センチのアマダイを釣り上げた登坂さん
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほり おじゃま虫ま〜す】慌てず騒がず悠然と。釣り人の背中にも何かしらの雰囲気が漂っている。このところアマダイが好調な、腰越・飯岡丸で登坂康一さん(72=大和市)の横におじゃま虫ました。(スポニチAPC 町田 孟)

 左舷ミヨシに陣取った。急ぐ様子もなく2本竿をセット。1本は「置き竿用に軟らかいのを」。これが効を奏した。当初はなかなかヒットせず時間ばかりが過ぎた。船内の様子を見て回っていると三浦公士船長=写真=が「登坂さん、いいの上げたよ」。慌ててそばに寄って手元を見るとデカイ。軟調置き竿に来た「本日1号」は45センチ。笑顔は見せるものの、興奮するでもない。「2年前には52センチ」。それに比べれば、である。淡々とした語り口だ。

 本来この時季はイカかキンメを狙っている。しかし「イカがよくないので」。久々のアマダイにしたところ良型に恵まれた。キャリアは25年ほど。それまではゴルフ一本。「技術系の営業だった」。趣味というより社業に近い。「忙しくて家に帰るのは遅い。休日は寝ていたかった」。モーレツに働いたのだろう。「腕は90前後。実際にプレーしたのは10年くらかな」。

 ゴルフに別れを告げたのは仕事が外回りから社内へと環境が変わってから。「周りに誘われて」方向転換。最初はストレス発散が目的だった。リタイアした現在は「楽しみ」に変わった。夏はカツオに出掛け、ヒラメも72センチを上げた。ゴルフよりは数段筋がよさそう。毎週釣りに出掛けられるのも「暇と多少の金があるから」。自適な生活といえよう。今年から「飯岡丸友の会」の役員も務めている。

 みち代夫人(67)と2人暮らし。普段から「勝手なオヤジって言われてる」。一方の夫人は体操やお花、町内会の友人たちとのお茶会に忙しい。たまに家で顔を合わせると「なんでいるの」。立場がないように見える。が本音は「逆らわずにいるのが一番」。流し方に年季が入っている。それでいて仕入れと板長の2役をこなす。「刺し身、酒蒸し、オリーブオイルを使ってソテーとか」。

 趣味の部屋がある。息子2人が独立した後を利用。「そこは汚しても何も言われない」オレの基地だ。お互いの領分にむやみに踏み込まない。熟年夫婦の生活バランスに共感できる点は多い。

 孫は6人。特に「下の方には5人」。男の子達に釣りを教えようとしても「全然。縛るのもよくないし」。無理強いはしない。ただ、一番上は女性で21歳。あと数年もすれば、ひ孫が抱けるかもしれない。「見たいけどねえ、こればかりは」。枯淡の境地にわずかながら未練がのぞいた。

 ▼三浦船長の診断 イカが主だけど手慣れている。回数乗っているだけのことはある。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、腰越・飯岡丸=(電)0467(31)1560。出船は午前7時。乗合料金9500円(餌、氷付き)。

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