羽生善治九段が日本将棋連盟新会長へ 役員選挙への立候補届を提出

[ 2023年4月5日 05:10 ]

羽生善治九段
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 日本将棋連盟の佐藤康光会長(53)は4日、6月上旬の任期満了と同時に会長職を退任する意向を表明した。後任は6月9日の棋士総会後に行われる理事会で決まるが、史上初の全7冠制覇(当時)を達成した羽生善治九段(52)が連盟役員予定者予備選挙への立候補届を提出。今月26日の予備選を経て新会長に就任することがほぼ確実となった。

 佐藤会長はこの日の会見で、退任に関して「もともと長期はできないと思っていた。来年が(連盟の)100周年の大きな節目で、このタイミングで次のメンバーに託すのがいいと判断した」と理由を説明。羽生について「(立候補の)話はうかがっているが、私から特に(後任として)話してはいない。将棋界の枠を超えて活動しており、存在感が大きい」と語った。

 4日に東京都渋谷区の将棋会館に姿を見せた羽生は、自身初の立候補届を提出。「今日の取材はなしで…」と言葉少なに立ち去った。連盟を通じて「このたび、日本将棋連盟役員選挙に立候補する届け出を提出しました。2024年に100周年を迎えるにあたり自分なりに力を尽くす所存です」とした。

 先月まで開催された第72期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)では藤井聡太王将に挑み、2勝4敗で敗退したがトップ棋士の実力を示した。勝利したその第2局は昨年度の名局賞を受賞。実績、人望共に傑出する羽生の会長就任は将棋界で長く期待されていた。

 ただ、前人未到のタイトル100期を目指す羽生にとって、兼業はハンデを抱えることになる。会長の職責は、タイトル戦前夜祭や就位式でのあいさつ、免状への署名に棋戦やイベントのスポンサー集めなど多岐にわたる。多忙でもあり、将棋の研究時間が取れなくなることが予想され、今後の成績に影響がある可能性も。今回の立候補は覚悟の表れと受け取れる。

 現役九段の佐藤会長は前任の谷川浩司17世名人(60)の辞任を受け、17年2月に就任。以降6年間で東西の新将棋会館建設準備や名古屋将棋対局場の新設、8つ目のタイトルとなる叡王戦の開催などに尽力した。

 ≪100期到達で自分に贈位状?≫羽生が会長に就任すれば、大山康晴15世名人以来の偉業に挑むことになる。大山は76~89年に会長を務め、79、80、81年度の王将に輝いた会長兼タイトルホルダーだった。就位式で手渡される贈位状は通常、会長からタイトルホルダーへとなる。羽生が会長になり100期到達の際、羽生が羽生に手渡すわけにはいかず、どう開催するのか?また贈位状に記載する贈り手と受け手が同一人物でいいのか?などの“難問”が発生する。

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2023年4月5日のニュース