奈良岡朋子さん、広い交友関係 黒澤監督、裕次郎さん、ひばりさん…大御所・スターに可愛がられ慕われ

[ 2023年3月30日 05:00 ]

奈良岡朋子さん死去 93歳

奈良岡朋子さん(2002年撮影)
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 新劇を主戦場としながら、ドラマ、映画、商業演劇と広く活躍した奈良岡さん。知られたのは交友関係の広さ。美空ひばりさんを本名の「和枝」、石原裕次郎さんを「裕ちゃん」と呼べた数少ない人物。杉村春子さんら先輩に可愛がられ、後輩に慕われた。

 奈良岡さんは劇団民芸の先輩、宇野重吉さんの厳しい演技指導を受け、大女優へと羽ばたいた。「生活女優にはなりたくない。性格女優でいたい」。その言葉通り、なりわいとしてだけでなく、演技の道を70年以上究め続けた人生だった。

 誰に対しても思ったことをウソなく言う。ヘビースモーカーで酒に強く、好きなパチンコに通った。きっぷの良さが多くの芸能人に慕われ、その言葉は多くのスターの心のよりどころだった。

 8歳年下のひばりさんはプライベートで大親友。仕事で初めて会った日に食事をし、自宅で飲んだ。「泊まりたい」というひばりさんをたしなめて帰した。翌日、ひばりさんの母から「お嬢の友達になってほしい。注意できる人はいない」と頼まれ「一個人の加藤和枝となら付き合います」と答えた。以来、昭和の大スターが何でも話せる相手だった。

 若い頃からの付き合いだった5歳年下の裕次郎さんは「最も尊敬する女優」と公言した。裕次郎さんの体調が悪化して人気ドラマ「太陽にほえろ!」のボス役を勇退すると、直後のパート2(86年)には女ボス役で出演。裕次郎さんの指名だったとされる。

 「演技を一番教えていただいたのは杉村春子さん」。舞台やドラマ「おんなの家」などでの共演が縁で可愛がられ、会うのはいつも六本木の中華料理店。夜更けまでだった。

 幅広い交友関係は、見込んだ相手と本音で付き合うことから広がった。八千草薫さん、池内淳子さん、草笛光子(89)とはプライベートで「女の会」というグループを結成。さらに黒柳徹子(89)や若尾文子(89)、生前の山岡久乃さんや森光子さんとの親交も深かった。NHK連続テレビ小説「水色の時」で共演した大竹しのぶ(65)には実の娘のように接していた。

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