【芸人イチオシ】風穴あけるズ 大阪芸人のプライド胸に「東京に風穴あけてやる!」

[ 2022年10月22日 11:00 ]

飛躍を誓った「風穴あけるズ」の(左から)ノブヨシ日本代表、飛び出せっ!安藤っ!、コブラ
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 大阪を拠点とする松竹芸能のトリオ「風穴あけるズ」。近年のお笑い界ではコントを中心に活躍するトリオが多い中、彼らは漫才がメインウエポン。地元大阪を中心に人気は急上昇中で、東京のお笑い界の定位置獲得を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 「大阪発で東京のお笑い界に風穴をあけたいんです」

 そう語るのはツッコミの、飛び出せっ!安藤っ!(31)。「飛び出せっ!」という名前からしてやる気満々だ。ボケのコブラ(33)も「東京松竹に風穴をあけてやる。映画とか、歌舞伎とかも、なんでもやりますわ」と、こちらも勢いがビンビン伝わってくる。

 舞台では、立ち位置が真ん中のツッコミ役・安藤に対し、両サイドからコブラと、もう1人のボケ担当であるノブヨシ日本代表(32)が波状攻撃を仕掛ける。2人組の漫才コンビよりも繰り出されるボケの数が多く、安藤がスピーディーかつリズミカルにツッコミを入れて笑いに変えて行く。

 もともとコブラとノブヨシがコンビで活動していたところに、ピン芸人だった安藤が2015年に電撃加入。当時のコブラは芸人引退を考えるほど追い込まれていたが「まるで清宮幸太郎が日本ハムに入団するような衝撃でした」とV字回復。その年の「M―1グランプリ」では3回戦に進出し、パワーアップを実感した。

 3人にとって場数を踏むことが貴重。時にはフリーの芸人たちと一致団結し、インディーズのライブも重ねた。月に20回ほどのステージをこなして経験値を上げている。

 見据えるのは東京進出だ。「大阪松竹で売れようと思ったら賞レースしかない」(安藤)と気合十分で、今月末にはM―1グランプリ3回戦が待つ。現在、安藤とコブラがけんかをしながらネタを作り込んでいる。

 アンバランスに見える3人の中で飛び道具となりそうなのが正体不明のノブヨシだ。インタビューで記者が質問しても、なぜか「ふふふ…」と不敵な笑み。「僕、興味持った人にしか、あまり話さないんですよね、うふふ…」。安藤やコブラが「せっかくの取材の機会なんだから興味持てや!」とツッコミを入れてもマイペースを崩さない。

 「僕、オリックスファンなんです。だからピンの仕事でそんな番組をやってみたい。選手との対談とかしたいなぁ」。笑いとかけ離れた回答も、ビジョンは何だか具体的。愛嬌もあるから憎めないキャラである。

 「こいつら売れる!」と確信した若手が必ずブレークするという占い師じみた松竹芸能のベテランスタッフも「風穴」の名前を挙げる。最近ではイチオシしていたヒコロヒー(33)が、売れっ子になり、同社の屋台骨を支える一員となった。関西の演芸史をヒモ解くと、お笑いトリオと言えば、古くは音曲漫才のかしまし娘やフラワーショウがおり、漫才ではレツゴ―三匹がいる。最近では安田大サーカスも有名だ。松竹芸能にはトリオが売れる法則がある。

 「我々には大阪のプライドがある。東には負けへん」(コブラ)。
 漫才の冒頭にあいさつ代わりにやる紹介ネタ「風穴あけるズです!バ~ン!」は中毒性があるのか耳について離れない。

 関西のお笑いコンテスト「ytv漫才新人賞」では史上最多となる17回出場して優勝がないまま出場資格を失い、ついたあだ名は「ハルウララ」。本当に関西の秘密兵器なのかは、東京で“大穴”をあける前に、その目で確かめてほしい。

 〇…3人のインタビュー動画が、現在松竹芸能のYouTube公式チャンネルで配信されている。26日にはメンバーらの人間関係を紹介する「相関図」を説明した動画を配信予定。またボニーボニー、トルクレンチガールズといった大阪芸人を集めたお笑いユニット「WEST ANTS(ウエストアンツ)」としても活動しており、全国で定期的にライブを敢行。「大阪のプライドを見せたい」と意気込んでいる。

 ◇風穴あけるズ(かざあなあけるず) ノブヨシ日本代表(のぶよしにほんだいひょう)1989年(平元)12月18日生まれ、兵庫県出身の32歳。飛び出せっ!安藤っ!(とびだせっあんどうっ)1991年(平3)3年20日生まれ、滋賀県出身の31歳。コブラ1988年(昭63)10月28日生まれ、兵庫県出身の33歳。15年結成。16年から22年まで、「ytv漫才新人賞」に17回出場。M―1では20、21年に準々決勝進出。

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