“初主演映画”できたよ、志村さん…「キネマの神様」完成、山田洋次監督「ようやくこの日が来た」

[ 2021年3月30日 05:30 ]

「キネマの神様」完成報告会見を行った(前列左から)山田洋次監督、宮本信子、、菅田将暉、永野芽郁、(後列同)寺島しのぶ、小林稔侍、野田洋次郎(撮影・西川祐介)
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 昨年3月に新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった志村けんさん(享年70)の一周忌に当たる29日、志村さんが主演予定だった映画「キネマの神様」(8月6日公開)の完成報告会見が都内で行われ、山田洋次監督(89)が「ようやくこの日が来た」と万感の思いを語った。ダチョウ倶楽部ら親交のあった芸能人も、改めて老若男女に愛された希代のコメディアンを悼んだ。

 「キネマの神様」は志村さんにとって「鉄道員(ぽっぽや)」以来21年ぶりの映画出演だった。菅田将暉(28)とのダブル主演で、映画への夢を追い続けた主人公のゴウを2人1役で演じるはずだった。衣装合わせや脚本の読み合わせ、全スタッフ、キャストの顔合わせも済ませ、3月1日に菅田らの若手パートからクランクインしていた。

 志村さんは4月から撮影に参加予定だったが、3月17日に倦怠(けんたい)感を訴え、呼吸困難の症状が出た。23日に新型コロナ陽性と判明し、26日に出演を辞退した。そのわずか3日後の悲報だけに山田監督は「主役が亡くなるというのは、僕の長い映画人生でも初めての体験。どうすればいいのか、混乱したことを今も思い出す」としみじみ振り返った。

 映画の撮影も、4月の緊急事態宣言の発令により中断となった。約2カ月半後に、志村さんと親交のある歌手の沢田研二(72)が代役に決定。ようやく一歩ずつ進むことができた。山田監督は「志村さんは日本一の喜劇俳優で、沢田さんは天下の二枚目。対照的な2人だが仲が良く、かなりバカバカしいギャグをやっているのも見ていた。彼も凄く悩んだと思うが、志村さんとは別の魅力のあるゴウを演じてくださった」と感謝。菅田も、共演シーンはなかったが「俺より動き回っているんじゃないかと思うくらい、物凄くパワフルだった」と最敬礼だ。

 その後も2度の公開延期にも見舞われ、菅田は「いろいろなことがあり過ぎて、思い入れもたっぷりなので個人的にはうまく言葉にできない」としつつ、「完成したと言えることが一番の喜びです」と感慨深げに話した。

 山田監督も「ようやくこの日が来た。封切りはもうちょっと先だが、早く見ていただきたい」と期待。映画のエンドロールには、志村さんへの追悼の言葉が並ぶ。希代のコメディアンが果たせなかった初主演という大きな夢。多くの人に届けることが手向けとなる。

 《代役ジュリー欠席》沢田は、志村さんの代役であり映画本編への出演のみが自身の役割という考えから、同作の宣伝活動を辞退。配給の松竹とも合意しているため、この日の会見を欠席した。登壇予定だった北川景子(34)も体調不良を訴え、大事を取って欠席。また、ゴウの妻役の宮本信子(76)は、「ここへ来る時、桜が満開でした。そこで志村さんのことを思い出していました」としみじみ話した。

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