炎の初舞台

[ 2019年9月19日 08:00 ]

藤井聡太七段(撮影・我満 晴朗)
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 【我満晴朗 こう見えても新人類】1980年代に愛聴したGuns N’ Rosesの「Welcome To The Jungle」が今も耳について離れない。PVでは長距離バスで大都会のど真ん中に到着した(おそらく)地方出身の若者が、荒廃しきったダウンタウンに驚きおののく…といった様子が描かれていた。歌詞の一部は「おまえ、どこにいると思ってるのか? おまえ、死ぬぞ!」。あな恐ろしや。よい子は近づいてはいけません。

 話は突然変わって将棋の大阪王将杯王将戦。すでにご存じの通り、史上最年少棋士の藤井聡太七段(17)が挑戦者決定リーグに初進出を果たした。三浦弘行九段(45)と対する初戦は9月30日。2002年7月19日生まれの藤井にとって、17歳2カ月11日での「挑決リーグデビュー」となる。

 さて、この数字、史上何番目の記録となるのか。早速調べてみた。

 この手の原稿を書く際、100%頼るのが「王将戦60年のあゆみ」。過去の7番勝負ばかりでなく、挑戦者決定リーグのメンバー及び勝敗が逐一掲載されているからだ。第61期以降は将棋連盟のウェブサイトを参照。その結果、10代でリーグ初参戦を果たしたのは過去に3人しかいかなった!

 時系列に従って紹介すると、まずは第6期(1956年)の加藤一二三・六段で、なんと16歳。リーグ初戦の日付を将棋連盟に調べていただくと7月28日の原田泰夫八段戦だったから、16歳6カ月28日だ。さすがは「神武以来(このかた)の天才」。

 その後、ティーンエイジャーは長きにわたって出現しなかった。谷川浩司・現九段、羽生善治・現九段でさえ21歳が初登場。では誰がひふみん以来の早熟なのか。

 答えは第39期(89年)の屋敷伸之四段で、17歳8カ月と4日。これに続くのがちょうど10年前の第59期(2009年)、豊島将之五段の19歳5カ月23日だ。

 つまり藤井は史上4人目の10代デビューとなる。しかも初戦時点では前述の通り17歳2カ月11日だから、豊島、屋敷を抜いて歴代2位の若さだ。地味な記録とはいえ、天才棋士の底知れぬ潜在力を物語る数字ではないか。

 ただし、ここからが難関だ。リーグ参加者を眺めると藤井以外の全員がA級所属で、しかも現役タイトル保持者または経験者ときている。凶暴な猛禽類がそこかしこにひしめくオリの中に放たれた草食の小動物といったところだろう。よい子は近づいてはいけません。

 普通に考えれば全敗してもおかしくないのだが、似たような状況で行われた2年前のabemaTV企画「炎の七番勝負」は驚天動地の6勝1敗! 今思えばそこが聡太フィーバーの出発点だった。

 今回も何かが起こる予感は確かにある。藤井七段、ようこそジャングルへ。(専門委員)

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