「集団左遷」三上博史の挑戦“脱・お客さん”自らスタンドイン「とにかく現場にいたい」

[ 2019年6月22日 16:00 ]

三上博史インタビュー(上)

日曜劇場初出演となった「集団左遷!!」で敵役を熱演している三上博史(C)TBS
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 俳優の三上博史(56)がヒール役を“怪演”して話題のTBS日曜劇場「集団左遷!!」(日曜後9・00)は23日、最終回(第10話)を迎える。キャリア40年を誇る名優をして「いろいろな挑戦がありました」と振り返る今作。「とにかく現場にいたい人間」「みんなと一緒にモノを作っているという共有が僕にとっては一番大事なこと」とモノ作りへの情熱を明かした。クランクアップ直後の三上を直撃。撮影の舞台裏などを聞いた。

 歌手で俳優の福山雅治(50)が主演を務める“平成最後にして令和最初”の同局看板枠。原作は作家・江波戸哲夫氏の「新装版 銀行支店長」「集団左遷」(講談社文庫)。行員をリストラから救った三友銀行・蒲田支店の支店長から本部の融資部部付部長に異動した片岡(福山)と、人事担当の常務取締役から専務に昇格した横山(三上博史)によるバトルは、ついに最終段階に入る。

 最終回は、とうとう副頭取の座にまで上り詰めた横山(三上)。島津議員(石丸謙二郎)への献金の記録が書かれた手帳を渡せば、すべてを水に流すという横山だが、片岡(福山)は突っぱねる。片岡の同期・梅原(尾美としのり)は最後の手段としてマスコミに告発することを提案。会社の不正を自分たちの世代で断ち切るべく、決意を固めた片岡は真山(香川照之)とともに手帳の裏取りを進める。しかし、それを知った横山の非情な仕打ちが襲いかかる――という展開。

 三上演じる横山輝生は大学卒業後、三友銀行に入行。敵と味方を瞬時に峻別する嗅覚に長ける攻撃的な男で、誰に対しても敬語を使う。非常に用心深く、人事評価で一切の減点がない男と言われている。「三友銀行の未来のため」と大規模なリストラや外資系インターネット通販との資本提携と断行。一方、片岡が追い詰めたと思いきや、先回りしてピンチを回避してきた。

 最終回の予告編。あの冷徹な横山が目に涙をためているように見える。三上は「実は結構メソメソするのは十八番。『この世の果て』(94年、フジテレビ)にしても『スワロウテイル』(96年公開、監督岩井俊二)にしてもメソメソしていますしね」と笑いを誘った。TBSの飯田和孝プロデューサーは台本上はなかったシーンと明かし「横山がああいう表情になったことを、視聴者の皆さんにどう受け取っていただけるか」と期待した。

 第9話(6月16日)中盤、退任を強いられた監査担当専務・武内が「なんで私が退任なんだ!私が何をしたっていうんだ!」と詰め寄ると、横山は「何もしていないからです。仕事ができると勘違いして、プライドだけ高い人はリストラの筆頭なんです。殴りたければ、どうぞ。そんな度胸があったら、リストラにはなってなかったんですよ!では、失礼します」と応じた。

 「“あなたは何もしないからリストラになった”。今までの横山らしいセリフですが、少し言い方を変えるだけで横山の内面が出る。この時は“あなたがきちんとしていればリストラにはならなかった”、つまり“私は、それが悔しい”という気持ちがにじみ出るセリフ回しにしました。視聴者の皆さんの間には『横山サイボーグ説』もあるみたいですが(笑)、同じセリフを使いながら、じわじわと人間らしさを出していくのも、挑戦の1つでした」。横山が貫く正義とともに“人間・横山”の側面も最終回のポイントになる。

 三上の撮影は17日夜、千葉県内でクランクアップ。花束を受け取り「いろいろな挑戦がありました」とあいさつした。その真意を問うと「“お客さん”になりたくなかったんです」と現場への臨み方について切り出した。

 撮影を始める前に照明や立ち位置を確認する「スタンドイン」という作業がある。通常は俳優本人に代わる人(この人をスタンドインと呼ぶ)が行うが、三上は自らが試したい。

 「そこに立つ役者によって顔が違いますから、どういうふうに照明を当てるのがいいのか、おのずと違うわけです。僕は初めてのカメラマンや初めての照明さんと組む時、まず僕の顔を知ってもらうことから始めます。ただ単にバミリ(立ち位置などを決めるテープ)を張って役者の配置を決めればいいだけのことじゃないんです。どの角度で撮ったら、物語に効果を生むのか。やっぱり、その役者の生の顔とストーリーが合わさならないと、作品は成立しないんです。ただ『少しでも役者を休ませてあげよう』というスタッフの思いやりで『(撮影が始まる)ギリギリまで(俳優に立たなくて)いいですよ』と。僕が早くスタンドインすると、スタッフが気を使っちゃったりする。そういう意味で“お客さん”になりたくなかった。僕は早くスタンドインに呼んでもらって構わないから、どう映るかスタッフに見てほしいんです。とにかく現場にいたい人間。みんなと一緒にモノを作っているという共有が僕にとっては一番大事なことなので」。徹底したこだわり。特に会議室などのシーンが多く、表情が演技の肝になった今作は、より重要な点だったに違いない。

 日曜劇場は意外や初出演。決して最初から三上の手法を押し付けることなく、スタッフと通じ合えるようになるには、この4~5カ月間、「日々の積み重ね」が必要だった。「だから、あと5話あったら、もっと“あ・うんな空気”をつくることができたと思います。“脱・お客さん”のためには、どうしたらいいのか。僕にとっては凄い挑戦でした。三上博史はどうでもいいから、とにかく役が生きてくれればいいということが基本なので。役が生きてくれればいいということは、視聴者の皆さんに作品を楽しんでいただきたいということなんです」。三上とスタッフが作り上げた“横山の最後”に目を凝らしたい。

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