報徳学園 大阪桐蔭撃破して4強 強気の今朝丸が1失点完投「秋の雪辱を果たせました」

[ 2024年3月29日 04:45 ]

第96回選抜高校野球大会第9日準々決勝   報徳学園4ー1大阪桐蔭 ( 2024年3月28日    甲子園 )

<報徳学園・大阪桐蔭>5回2死一塁、大阪桐蔭の代打・内山を見逃し三振に抑え、雄叫びを上げる報徳学園・今朝丸(撮影・後藤 大輝)
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 昨春準優勝の報徳学園(兵庫)は、大阪桐蔭(大阪)を4―1で下して準決勝進出。今秋ドラフト候補に挙がる最速151キロ右腕の今朝丸裕喜投手(3年)が1失点完投勝利を飾って、2大会連続で大阪桐蔭を破った。29日の休養日を経て、30日に準決勝2試合が行われる。

 昨春の準決勝で敗れた雪辱を期す相手を気迫で上回った。報徳学園の今朝丸にとっては、昨秋の近畿大会準々決勝で敗れて以来の再戦で「秋の雪辱を果たせました」。試合開始から雨が降り続ける過酷な環境で、5安打1失点の完投勝利。相手先発・平嶋桂知との世代屈指の本格派右腕対決で投げ勝った。

 恐れず内角を突き続けた。「秋から変わったのは直球の質」と5奪三振中4つを直球で奪った。「秋は気持ちに余裕がなかった。甲子園でもピンチは絶対に来ると思って練習してきた」。昨秋に3安打2打点を献上した4番のラマル・ギービン・ラタナヤケを「意識した」と3打数無安打に抑えるなど、対抗心を前面に押し出した。

 昨秋の対戦では弱気な一面を隠せず、6回2/3、4失点と全力で腕を振り切れなかった。試合後の大角健二監督は厳しかった。「強い相手に力を出し切れないようなら、プロ野球選手もエースナンバーも厳しい。プロで通用もしないし、俺はプロに行かせない」。高卒でのプロ入りを目標に同校に進学し、実際にプロ注目の逸材でもある。ただし背番号1を主将の間木歩に譲るなど、殻を破れずにいた。「監督の言葉で意識が変わりました。絶対に同じ投球を繰り返さないと思いました」。そして、秋から精神面が見違えたことを今回の大一番で実証した。

 試合直前、ナインは「今朝丸が燃えてるぞ」と盛り上がっていた。そこで大角監督が「俺の方が燃えてるから」と本人に伝えると、今朝丸が首を振った。「僕の方が燃えていますから」。昨秋までの弱気な姿は、どこにも見当たらなかった。

 エース格ながらも背番号は「10」。これまで厳しい言葉をかけ続けてきた大角監督も、今回ばかりは手放しで称えた。「今まではいい球を投げるだけの投手だった。だけど今日、勝てる投手に成長したことを証明してくれました」。待ち焦がれた覚醒を経て、大阪桐蔭に甲子園で2勝した初めてのチームになった。 (河合 洋介)

 ◇今朝丸 裕喜(けさまる・ゆうき)2006年(平18)6月2日生まれ、神戸市出身の17歳。小3時に横屋川井少年野球部で野球を始めて投手。報徳学園では2年春の選抜に背番号10でベンチ入りして準優勝。1メートル88、80キロ(メンバー登録時は74キロ)。右投げ右打ち。

 ○…二塁手・山岡純平の美技がチームを救った。4回先頭の徳丸快晴が放った打球は二遊間を襲う痛烈なゴロ。背番号4の2年生は「ここでヒットにしたら今朝丸さんを不安な気持ちにさせてしまう」とダイブして捕球し、一塁へのスムーズな送球でアウトにした。昨秋、大阪桐蔭に敗れた近畿大会準々決勝でも同様のプレーを見せており、リベンジの舞台でも再現。「1歩目(のスタート)をしっかり切れたので、これはいけると思った」と納得顔で話した。
 

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