日本ハム・鈴木健矢 サイドから転向の4年目サブマリン 腕どんどん下がり渡辺俊介流で浮上2勝

[ 2023年4月21日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム2-0ロッテ ( 2023年4月20日    エスコンF )

<日・ロ>エスコンフィールド北海道で2勝目を挙げた鈴木(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハム・鈴木健矢投手(25)が20日、ロッテ戦に今季初先発して6回1安打無失点と力投し2勝目を挙げて、チームの連敗を「4」で止めた。救援だったチームの新球場・エスコンフィールド北海道初勝利に続き、同球場2勝目。チームの零封勝ちは今季初めて。昨春に新庄剛志監督(51)の勧めで下手投げに転向したサブマリンが、窮地のチームを救った。

 地上15センチ。鈴木が地面すれすれの高さから放つ球で、凡打の山を築いた。かつて相手のロッテで下手投げで名をはせた渡辺俊介氏(現日本製鉄かずさマジック監督)のように。

 「調子は良くなかったので、自分のできることをやろうとマウンドに上がりました」

 4連敗中のチームで、前回救援登板から中3日で上がったマウンド。この日最速133キロで平均125・3キロの直球と、100キロ台後半のスライダーで、のらりくらりとかわした。捕手・伏見のリードに一度も首を振ることもなく、6回1安打無失点。テンポ良く打たせる投球が、今季両リーグ最短2時間17分の決着につながった。

 昨春キャンプ中、現役時代に渡辺氏を苦手としていた新庄監督の提案で、横手から下手投げに転向した。そしてこのオフ、千葉県出身の右腕は「アンダーと言えば俊介さんだった」と渡辺氏に弟子入り。日本製鉄かずさマジックのグラウンドに赴き、約1週間の“特別授業”を受けた。

 ブルペン投球を後ろから見てもらい、最も心に残った助言は「力を入れすぎないように」。「力を入れていたら、(体の)起き上がりが早くなってしまう。今は位置がどんどん落ちて、体になじんでいる」とより深く潜れるようになった。昨年9月27日のロッテ戦に続く先発勝利を挙げたロッテキラー。今季は右打者には20打数無安打と1安打も許しておらず、計14イニングで自責点0の防御率0・00と抜群の安定感を誇る。

 新庄監督は試合前、激励に訪れた小村勝球団社長兼オーナー代行と談笑し「“お金増やしてください。お願いします”と。6番打者と先発ピッチャーが1人でもいてくれたら」と戦力の緊急補強を直談判したと明かしていたが、自前でこれ以上ない先発の補強が自軍救援陣から現れた。

 次回は中5日で、26日のオリックス戦での登板が有力。「与えられたところで仕事ができれば」と鈴木。千葉で生まれ育ち、憧れた千葉のサブマリンの遺伝子を注入された、北の潜航艇。浮き上がるような直球でチームも浮上させる。(田中 健人)

 《右打者20打数0安打》鈴木の先発勝利は昨年9月27日ロッテ戦以来となった。今季7試合14回を投げ被安打わずか5本。全て左打者に許したもので、左の被打率は26打数5安打の.192。右打者は20打数0安打と完璧に抑えている。昨年も左.295、右.190で右打者を得意としていた。

 《2犠飛のみでの完封勝利は22年前と同日》日本ハムが犠飛2本での2得点のみで勝利。2犠飛のみの得点での勝利は02年4月30日オリックス戦○2―1以来、2犠飛のみでの完封勝利はこの日と同じ22年前の01年4月20日オリックス戦以来となった。

 ◇鈴木 健矢(すずき・けんや)1997年(平9)12月11日生まれ、千葉県出身の25歳。1メートル76、75キロ。右投げ左打ち。

 ☆球歴 小2から野球を始め、中学は軟式野球部に所属。木更津総合では3年春の甲子園に出場。JX―ENEOSでは16、18年都市対抗に補強選手として出場。19年ドラフト4位で日本ハム入り。

 ☆度入りサングラス 視力は0.3で、社会人時代にナイターでは見えづらいという理由からコンタクトレンズから偏光レンズ眼鏡に変更。プロでも着用し続ける。

 ☆横手投げ 木更津総合2年時に横手投げに変更。プロ2年目まで横手投げだったが、昨春に下手投げに転向した。

 ☆新球場初勝利投手 4月1日楽天戦の延長10回に救援登板して1回無失点に抑えると、チームがサヨナラ勝ちを収め、新球場での球団初の勝利投手となった。

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2023年4月21日のニュース