広島・新井監督 采配ズバリ甲子園1勝 代打・松山が逆転満塁打「さすがですよね」救援6投手で反撃しのぐ

[ 2023年4月21日 05:05 ]

セ・リーグ   広島7―5阪神 ( 2023年4月20日    甲子園 )

<神・広>9回、マウンドで栗林を激励する新井監督(撮影・大森 寛明)
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 広島は、阪神を7―5で下し、連敗を2で止めた。2点を追う4回、代打・松山竜平外野手(37)が中堅左のフェンスを直撃する3点二塁打を放って逆転。2回4失点で降板したアンダーソンの後を受け、救援6投手が3回からの7イニングを担い、虎の反撃を振り切った。采配がズバリ的中した新井貴浩監督(46)は、3戦目にして甲子園で初勝利を挙げた。

 4万人超の大観衆で埋まる甲子園。快音を発した大飛球が中堅左のフェンスを直撃すると、虎党から落胆の声が上がった。2点を追う4回1死満塁で代打・松山が起死回生の3点二塁打。カウント1―1から西純が投じた外角直球を捉えた。

 「外野フライでいいと思って、とにかく打てる球をどんどん振ってやろう…と。何とか連敗を止めたかったので、本当にいい場面で打てたと思う」

 自画自賛の松山。新井監督が打った早めの勝負手がものの見事にはまった。絶好機とはいえ中盤に差し掛かったばかりの4回で、代打の切り札をためらわずに指名。期待に応えたチーム最年長の37歳は16年目にして通算500打点に到達した。

 「全然知らなかったけど、ガン(岩本貴裕スコアラー)が教えてくれた。何の話と思って。ま、でも、よかったですね(笑い)」

 新井監督の采配が最初から最後まで、ズバリ的中したゲームだった。今季初先発のアンダーソンが立ち上がりから乱調。8安打を許して4失点し、球数66球を要した2回で早々と交代の断を下した。そして劣勢を挽回する切り札投入だ。

 「さすがですよね、松山さん。最敬礼ですよ。ビッグチャンスなら(前半でも)行くと言っていたので」

 最大の見せ場は栗林が救援登板した最終9回だった。3連打と味方の失策が絡んで1点を返され、なおも無死一、二塁の場面。指揮官は就任後初めてマウンドに足を運び、絶対的な信頼を置く守護神を言葉で鼓舞した。

 「“おまえで打たれたら本望。思い切って投げろ”とだけ言った。彼がどれだけのものを背負っているか、すごく分かるので。抑えたのは彼の力でしょう」

 栗林に掛けた言葉を報道陣に問われ、一度は「本人に聞いて」と固辞した指揮官。右腕が「監督に聞いてください」と口を閉ざしたと聞き、苦笑して打ち明けた。選手を立て、自分の手柄と取られることを良しとしない。

 「普通にうれしい。苦しい展開だったけど、選手からは3連敗だけはしないという気迫が伝わってきた。きょうの勝ちはチームを成長させると思う」

 08~14年までタテジマでプレーした甲子園で待望の初勝利。新井監督は目を細めて奮闘したナインを称えた。(江尾 卓也)

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2023年4月21日のニュース