「鷹のキングジョーカー」牧原大　侍でも魅せる万能守備「持ち味出したい」ソフトB3人目の育成選手

会見を終え国際球を手にポーズを取る牧原大（撮影・中村　達也）
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　NPBエンタープライズは1日、ソフトバンクの牧原大成内野手（30）を侍ジャパンに追加招集したと発表した。左脇腹を痛めて出場辞退したカブス・鈴木誠也外野手（28）の代替選手としての緊急招集。内外野を守れるユーティリティープレーヤーとして「切り札」的な起用が期待される。今大会の鷹4人目の侍となった牧原大は、5日に栗山英樹監督（61）が率いる侍ジャパンに合流する。

　牧原大は取材後の写真撮影で、WBC使用球を手に喜びの表情を期待されたが「大事なゲームなんで、笑えませんよ」と断った。不安を漏らし“心配侍”と化していた。

　「楽しみな半面、正直、不安。ミスしたらたくさんの人に言われるんだろうなという不安。鈴木選手の穴を埋めるのは荷が重い。どこでも守れるというところで呼ばれたと思うが、自分でいいのか。侍ジャパンに選ばれるとか不思議。正直、思っていなかった」

　5日からの合流予定に備え、持ち味を発揮するために始動した。中堅のレギュラー獲りを狙っているが、この日の打撃練習中の特守では二塁上での併殺処理で一塁送球を続けた。ロッテとの練習試合には出場せず、守備ノックで中堅と三塁で軽快にさばいた。

　「出るイメージは守備固め。守りで呼ばれたと思うので、しっかり持ち味を出したい」

　魅力は抜群のユーティリティー性だ。チームではバッテリー以外の全位置を守ってきた。実現しなかったが、19年のポストシーズン前には第3捕手として防具一式を着けて練習した経験もある。昨季は中堅で47、二塁で29、三塁で14、遊撃で5試合にスタメン出場した。藤本監督はトランプでの切り札「ジョーカー」になぞらえ「鷹のキングジョーカー」と命名。昨季のチームMVPに選んでいる。

　10年育成ドラフト5位で甲斐、千賀（メッツ）らと育成の同期だ。今回の侍ジャパンでは甲斐、周東に続き、ソフトバンクから3人目の育成出身選手となる。

　1番・中堅で臨んだ2月25日の侍との壮行試合でも強烈な印象を残した。佐々木朗（ロッテ）からの内野安打を含め、2安打1打点。守備ではダイビングキャッチもあった。その際に日本代表・栗山監督から「何かあったら頼むよ」と言葉をもらった。その4日後に「何か」が起こり、白羽の矢が立った。

　WBC初出場を前に「全国民が見る（サッカー）ワールドカップみたいな国民が熱くなるスポーツ大会。1勝にこだわって、行くからには（試合に）出たい」と本心をチラリ。走攻守で超万能な牧原大は、多彩な場面で栗山ジャパンのジョーカーとなる。　（井上　満夫）

　◇牧原　大成（まきはら・たいせい）1992年（平4）10月15日生まれ、福岡県出身の30歳。城北から10年育成ドラフト5位でソフトバンクに入団。2年目の12年6月に支配下登録された。14年7月22日のロッテ戦でプロ初安打。同年オフに台湾で開催された21U野球ワールドカップに鈴木（広島、現カブス）らと出場。日本代表の主将を務め、鈴木とともにベストナインに選出された。初出場した昨季の球宴第2戦で2安打。1メートル72、73キロ。右投げ左打ち。