落合博満氏 中日監督時代に徹底した情報管理をした理由 野球人としてのこだわり

[ 2022年12月13日 17:00 ]

落合博満氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(69)が13日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。中日監督時代の「徹底した情報管理」について語る場面があった。

 2004年から2011年まで8年間、中日の監督を務め、リーグ優勝4回、2位3回、3位1回とすべてAクラスに導いた落合氏。春季キャンプではペナントレースを乗り切る体力をつけるため、12球団一の練習量をこなし、安定して優勝争いができるチームに変わっていった。

 落合監督下の中日は情報管理の徹底でも知られた。スタッフから「故障や先発投手など、(情報が)絶対漏れてこないっていうことがあった」と聞かれると「絶対漏らしませんよ、それは。相手に情報与えてやって何の得があるの?“絶対、中のことは喋るなよ”っていうことは言った」と語った。

 ただ、相手に隙を見せない意図だけではなかった。落合氏は「“その選手がケガをしたよ”っていうふうに、(外に)言われたくない選手はいるんだよ。俺が現役の時そうだった」と切り出した。「多少のケガで休むとそのレギュラーのポジションを他の選手に獲られるっていう不安感がある。だから故障とか何かっていうのは絶対隠しながらゲーム出た。自分の生活の危機だよ。レギュラーを獲られるっていうことはそういうことだから。絶対、ケガしてても“ケガしてる”っていうことは言わなかった」と自身の現役時代を振り返った。「球団からすれば、広報からすればね、マスコミと上手に付き合いたいとかってなれば、いろんなものを情報出したりするんだろうけども、“それは一切ダメだよ”っていうことは口を酸っぱくして言ってた」と語った。

 「実際にケガをしててもそれを隠して出続けた選手もいたのか」と聞かれた落合氏は「うん、それは中にはいるよ。一番良い例が、和田(一浩)だよな」と明かした。自打球による故障を避けるために左足にレガースを着けるように指示をしたが、着けずに打席に入って自打球を受けたことがあった。「(和田は)何日も足を引きずりながら野球やっててね。風呂場で“絶対骨折してるから、明日、病院行って検査してこい”って言ったら、試合前に来てね。“骨折してました”と(言ってきた)」と説明した。

 でも、ここで落合氏は和田に対し「どうすんだよ?ゲーム行くのか行かないのかどっちだよ」と聞くと「“ゲーム行きます”って言ったもん。それだけみんな必死なんだよ。まして、“レガース着けろよ”って言ったものを、着けないで自分で自打球当たって骨折したわけだから。そりゃゲームを休むとは言いづらいと思うよ」と笑いながら話した。当時の落合監督は先発で出られないならファームで調整させる覚悟で和田に問いかけ、和田の返答を受けてゲームで使い続けた。

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