阪神・青柳が明かした“無双”の理由…左打者相手の「52」「20・8%」につながったものは

[ 2022年7月22日 05:15 ]

前半戦10勝している青柳
Photo By スポニチ

 阪神の青柳晃洋投手(28)が、前半戦だけで10勝をマークするなど“無双”している要因を本紙に明かした。顕著なのは苦手としてきた左打者からの奪三振の量産。春季キャンプから磨いてきた球種で追い込む場面が格段に増え、得意のツーシームに頼ることなく勝負できているという。エースへの道を猛進する右腕に阪神担当の遠藤礼記者が迫った。

 取材のきっかけはバッテリーを組む梅野の言葉だった。「左バッターから空振り、三振を取れるようになった。結果が出る前にファールを取って、最後仕留めるような。若いアウトカウントで、1アウト三塁とか事を起こさせないピッチングができてる」。数字を見れば顕著だった。

 今季、ここまで左打者250人と対戦し、52奪三振。割合でいえば20・8%となり、ローテーションに定着した19年以降では最多となっている。奪三振数も過去は右打者からの方が多かったが、今季は左打者が14個も上回り、昨年1年で奪った50個をすでに超える。 青柳本人が、この「進化」を自己分析した。

 「キャンプで練習してきたカットとか高めの真っすぐでファウルを取れてカウントが整う場面が多くなった。昨年までは追い込む前に、前へ飛んでたので。相手がツーシームを狙ってるところでツーシームでゴロとか。今年は球種も増えて、明らかにツーシームの場面でカットを投げたり。そういう部分が変わってきて、追い込むことが多くなってバッターが迷って三振が多くなってるのかなと」

 昨年と比べれば一目瞭然で、最も自信のあるツーシームの割合が減って、逆にカットボールなど他の球種が増加。それぞれの精度が上がっている証拠で、シーズン中に使えるまでに向上したことがうかがえる。

 「今年はカウント球でいろんなボールを使えてるので、追い込むパターン、追い込んでからのパターンが増えた。昨年まで制球できずに甘く入って打たれるボールが今はカウント球、結果球でしっかり使えてる。僕の技術が上がったから捕手の配球のバリエーションが増えてる。僕個人より、捕手のおかげ」

 7月8日のヤクルト戦の7回、先頭で対峙(たいじ)した山崎に13球粘られた末に最後はカットボールで空振り三振を奪った。「スリーツーからカットボールを投げられるという選択肢が増えたのは僕の中ですごくプラス」。キャンプで課題の球種を投げ込み、オープン戦ではツーシーム、スライダーを封印する制限付き投球など、日々の取り組みの成果が出ている。

 「今はちゃんと“ピッチング”ができているので」。勝利数、防御率、勝率、完封数とリーグ4冠をひた走る背番号50。無双ピッチの要因はこの言葉に凝縮されている。(遠藤 礼)

 《前半戦5割ターンへ先陣》青柳は、22日のDeNA戦で前半戦ラストの登板に臨む。甲子園での指名練習に参加した右腕は「勝ってはいるけど、僕自身すごく点を取られているチーム。僕の時は左バッターが多くなりますし、普段出ていないバッターに打たれたりもしている」と警戒した。

 今季は2勝負けなしも、同一リーグでは対戦別で最も悪い防御率3.75。それだけに「無駄なランナーをためないこと」とテーマを掲げた。チームは3連勝締めなら5割復帰。「5割は通過点。上に行くために1勝ずつ積み上げていく」。大黒柱が快投で初戦を取って勢いをつける。

続きを表示

2022年7月22日のニュース