ロッテ・安田 追求する“安打の延長線上の本塁打”「今の4番は4番目」

[ 2022年7月11日 08:30 ]

ロッテ・安田
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 6月27日から、10試合連続でロッテの4番に、安田尚憲が座っている。

 ここまでの成績は62試合に出場し、打率・246、2本塁打、13打点。数字を見れば、やはり物足りない。それでも、チームトップの12本塁打をマークするレアードは、どちらかというと意外性のある一発が持ち味だ。こういう助っ人は6番くらいにいると、怖い。だからこそ、4番に安田が入ると、打線の並びは妙にしっくりと来るのだ。

 とはいえども、本塁打が2発と少ないのは、どうしても気になる。入団当初は「幕張のゴジラ」と期待された安田に、このことを聞いてみると、「打てるにこしたことはないですけど…」と言ってから、現時点の考えを教えてくれた。

 「僕の打球の傾向としては、ライナーが多い。それを、どこまでホームランに近づけていけるのかというのが、自分の課題でもあるけど、今はライナーでいい打球を打てている。これを継続していければなと思う」

 同期で、今では日本を代表するスラッガーとなったヤクルト・村上のような打撃を追い求めたこともあるが、試行錯誤しながら、たどり着いた結論が、今の打撃スタイルだ。

 一昨年はシーズン途中から井口監督に我慢して4番で起用してもらった。昨年も開幕4番を任されたが、期待された打撃ができず、優勝争いが激しくなった終盤はベンチスタートになることも多かった。

 今季は開幕2軍スタート。「本当に不がいないと思っていた」と振り返る。そんな中でも腐ることなく、バットを振り続けた。1軍と2軍を往復し、少しずつスタメン出場の機会が増え、そして4番というポジションに戻ってきたのだ。

 「無理してホームランを狙って、スイングを崩すより、右中間、左中間へライナーを飛ばす方が、自分に合っている。アーチストと呼ばれる人は打球も高弾道。今、自分やっている感じだと、そうではないかなと思う」

 冷静な自己分析だと思う。でも、それではもったいないとも感じる。本塁打を捨てたのだろうか?話を聞いていくと、決してそういう訳でないことも分かって安心した。

 「今の実力だと引っ張った打球ならライトに入るけど、左中間だとホームランはなかなか入らない。これがライナーでスタンドに入る感じが出だしたら、より幅が広がる。そこは自分が求めて練習しているところでもあります」

 プロ5年目。年齢で考えると、大卒1年目のルーキーたちと同じ世代となる。打者と完成されていくのは、まだ数年後かもしれない。ならば、そのときは、どれくらいの本塁打を打ちたいかも聞いてみた。

 「その頃には30本を超えたいし、その中でも、チャンスに強い打者でいたい。自分の中では、今の4番は4番目ぐらいの感じ。相手チームの4番を見ていると、本当に成績を残している。僕もそれくらいの成績を残して、4番打者と思えるようになりたい」

 8月1日に行われるプロアマ記念試合「U-23NPB選抜VS大学・社会人選抜」の代表に選出された。「ここも一つのステップアップにして、いい経験にしたい」。安田は外野の間を抜くライナーが、スタンドに届くようになることを目指している。

 安田の三塁守備は上手だ。2年前と比べると格段に進歩している。もはや、リーグの中でも上位ではないだろうか。これも、地道なことをコツコツと積み重ねられる性格が、成果となったのだと思う。打撃も一歩ずつ、成長していけばいい。

 個人的には、将来、侍ジャパンの主砲として村上、清宮ら並んで活躍する姿を見てみたい。(記者コラム・横市 勇)

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2022年7月11日のニュース