ツイッターでファーストミットの持ち主呼びかけた野球用品店は元プロ選手が経営「皆様の優しさに感謝」

[ 2022年7月11日 18:47 ]

高校生が修理を依頼したファーストミット(68野球工房@68laboツイッターから)

 「何とか高校球児を助けたいと思った皆様の優しさに感謝です」。修理したファーストミットの持ち主と連絡が取れず、ツイッターで呼びかけていた埼玉県戸田市で野球用品専門店「ロクハチ野球工房」の店主・宇佐美康広さん(46)が11日、多くの人に感謝の言葉を口にした。

 ことの発端は6月30日だった。同店にファーストミットのウェブ部分の修理依頼が高校生からあり、夏の大会目前ということで宇佐美さんは「1日でも早く修理を完了しよう」と翌日の7月1日には修理を終わらせ、高校生が記入した電話番号に修理完了を告げる電話をかけた。

 電話がつながらなかったため、留守番電話に修理完了の旨を告げ、念のためにショートメッセージでも連絡。ところが、その電話番号の持ち主から「間違いでは」とショートメッセージが返ってきたたため、記入された番号が間違いだとわかり、修理を依頼した高校生の「目に触れたら」とツイッターで情報を発信した。このツイートを250万人以上のフォロワーがいるパドレスのダルビッシュ有投手らがリツイートしたことで、一気に情報が拡散した。

 今月9日、修理を依頼した高校生がチームメートからツイッターに掲載されていることを知らされて同店を訪れ、無事に修理したファーストミットを手渡すことができたといい、宇佐美さんは「連絡を取る手段がなくツイッターで呼びかけたのですが、ここまでの反響があるとは。何とか高校球児を助けたいと思った皆様の優しさに感謝です」と話した。

 同日にはツイッターでも「キターーーーーー!!チームメイトから『お前のミットSNSに上がってるぞ!!』と言われたみたいです 無事持ち主の元へ手渡す事が出来ました。明日が初戦。13番を背負って1日でも長い夏にして下さい 高校球児を想う皆様のRTに感謝感謝です。本当に有難うございました 本当に良かった…」とつぶやき、無事に持ち主の元にファーストミットが戻ったことを報告すると、2000件以上リツイートされるなど、大反響を呼んだ。

 宇佐美さんによると、修理を依頼したのは埼玉県内の高校2年生で、今夏は背番号13番でベンチ入り。前日10日に迎えた初戦は出番こそなかったもののチームは勝利したという。ちなみに電話番号はこの高校生が書き間違えたそうだ。

 実は宇佐美さんは元プロ野球選手。北海道・稚内大谷高から捕手として93年ドラフト6位でヤクルトに入団。1軍出場は1999年の15試合にとどまり、2000年に現役を引退した。

 引退後は「野球に一切関係ない職に就きたかった」と建築会社で営業を約15年間務めた。その間に結婚し、誕生した息子と一緒に再び野球をやり始めたことで「やっぱり野球は楽しい」と再認識。「もう一度、携わりたい」と野球への愛情が復活し、2016年に現役時代の背番号68にちなんで「ロクハチ野球工房」をオープンさせた。

 宇佐美さんをはじめ、野球への愛が深い人たちによってファーストミットは無事に大会前に持ち主の元に戻ることができた。

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