鈴木啓示氏、怖さ感じない阪神打線 原因は準備不足

[ 2022年5月12日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2-3広島 ( 2022年5月11日    甲子園 )

鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】持っている力を出し切ることができずに負ける。プロとして、これほど悔しいことはない。7回1死満塁、8回1死二、三塁と逆転できるチャンスはあった。なのに、それを生かせない。

 勝負どころでボールに手を出す姿ばかりが目についた。選球眼には定評があったはずのマルテも低めの明らかなボールに空振りを繰り返した。打線全体でも、ストレートには力負けして、差し込まれる。ピンチを招いて相手も苦しいのに、自分たちがそれ以上に消極的になっている。投手目線でも怖さを感じない。それが今の阪神打線だ。

 ファンの期待に応えるためには、選手個々が戦う上で、しっかりとした目標を持たなければいけない。目標があれば、準備ができるはずだ。選球眼が安定しないのも、直球に対応できないのも、準備不足に原因がある。そう思わずにはいられない。

 なぜ準備不足に陥っているのか。毎日のようにコロコロ変わる打線が一つの原因という気がする。開幕から39試合で、オーダーは35通り目。試合に出るのかどうか、グラウンドに来てみないと分からない。そんな状態だと十分な準備はできないのは明らかだ。

 打順が変わるのはベンチが試行錯誤を繰り返すからだが、流れが悪いときに動くと、勝負の世界では裏目になることが多い。悪いときこそ選手を信頼し、どっしり構えた方がプラスに出ると思っている。コンディション不良だった糸井がスタメンに復帰した。初回2死一、二塁からフォークの第1ストライクに体勢を崩しながらも対応したのはさすが。佐藤輝、大山、糸井と軸になる部分は打順も守備位置も固定することが安定した戦いにつながるはずだ。

 準備がしっかりできれば、ここ一番の集中力にもつながる。プロとしてやるべきことは何か。そこを、もう一度考えてほしい。

 ○…阪神は「9番投手」を除き、今季39試合目で35通り目の先発オーダー。1~8番まで同じ野手と守備位置が2試合続いたのは、今季初勝利だった4月5日DeNA戦、6日同戦の1度しかない。

 ○…阪神の糸井、大山、佐藤輝が同時に先発するのは今季21試合目で、大山が左翼に入るケースは昨季から通じても初めて。昨季は3人の同時先発が6試合あり「三塁・大山、左翼・糸井、右翼・佐藤輝」が4試合、「三塁・大山、右翼・佐藤輝、DH・糸井」が2試合だった。

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