ソフトバンク・東浜、沖縄出身初ノーヒッター「まさか自分ができるとは」

[ 2022年5月12日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク2ー0西武 ( 2022年5月11日    ペイペイD )

<ソ・西7>ノーヒットノーランを達成しガッツポーズをする東浜(撮影・中村 達也)
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 ソフトバンクの東浜巨投手(31)が11日、西武戦で史上84人目(95度目)となるノーヒットノーランを達成した。2四球を与えるも2併殺で「27人斬り」。チームでは19年の千賀滉大投手(29)以来の快挙を成し遂げ、リーグトップタイ4勝目を挙げた。チームは連勝を7に伸ばした。 

 首を2度振り、最後に選んだのは内角直球だった。9回2死。金子の打球は東浜のグラブをかすめたが、二塁手の三森がカバー。アウトになると、両手を高く突き上げた。100球未満の完封をメジャーの好投手にたとえて「マダックス」と言うが、97球で無安打無得点を達成。右腕は駆け寄ったナインと強く抱き合った。

 「まだ信じられない気持ちです。本当に意識したのは最終回。ここまで来たら自分の投球を貫こうと。まさか自分ができるとは思ってもいなかった」

 5回に足をつりながら熱投。許した走者はわずか2人だった。2回1死から中村に四球を許すも、続く栗山を遊ゴロ併殺に料理。5回には先頭・山川を歩かせたが、中村を遊ゴロ併殺に仕留めた。最速151キロ直球と宝刀シンカーを武器に残塁ゼロの打者27人斬りによる記録達成。低めへの制球力が抜群で、外野への飛球はわずか1本。内野ゴロ14と持ち味を発揮した。

 一球ごとにボールに思いを伝えた。100球以内の達成は06年山本昌(中日)以来。東浜は入団時、「山本昌さんの姿が理想」と50歳まで現役を続けた鉄腕の名前を挙げていた。打たせて取る投球スタイルは同じ。憧れの存在とも肩を並べた。

 17年には最多勝(16勝)に輝くも、昨年までプロ9年間で2桁勝利はこの一度だけ。昨季は4勝止まりで周囲からの雑念も耳に入ったが、柱としてのプライドは心の奥底に持っていた。「17年がめちゃくちゃ良かったとは思っていない。投球レベルは20年の方が高いし、あの時はまだ発展途上。まだまだ上にいけるし、より高いレベルに自分を引っ張っていかないと」。己と向き合ってきた努力が報われた。

 沖縄出身では初のノーヒッター。「大満足。今日のボールは日付を入れて、家に飾ろうかな」と笑みをこぼした。リーグトップタイの4勝目。次回登板が中6日なら、那覇で行われる18日の同戦で地元に凱旋(がいせん)登板となる。「いい勝負を子供たちに見せられるように」。ヒーローは浮かれることなく、すぐに次へ視線を向けた。 (福井 亮太)

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2022年5月12日のニュース