松坂大輔氏、“夢”かなえた 古巣フェンウェイ・パークで「一人のファンとして」野球観戦

[ 2022年4月26日 02:37 ]

松坂大輔氏が自ら撮影。フェンウェイ・パークで行われたレッドソックスの本拠地開幕戦。スタンドは超満員
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】昨年限りで現役を引退した松坂大輔氏(41=スポニチ本紙評論家)が今、何を見て、何を思うのか――。平成の怪物の「今」を発信する月1回の連載コラム「松坂大輔の探球~シーズン編~」の第2回。かつて自身が所属したレッドソックスの本拠で、1912年の開場から100年以上の歴史を誇る大リーグ最古の球場フェンウェイ・パークに足を運び、一人のファンとして野球を観戦した思いをつづった。

 ずっと思い描いていました。一人のファンとしてスタンドから野球を見てみたい――。15日、レッドソックスの本拠地開幕戦を観戦しにボストンのフェンウェイ・パークに行きました。バックネット裏。自分が投手として投げるのでもなく、評論家としての取材でもない。フェンウェイで普通に野球を見るのは初めての経験でした。

 昨季までこの時期は日本にいました。現役を引退したからこそできたことです。当日は超満員(※1)。新型コロナウイルスの感染拡大に、長期間のロックアウトもありました。ファン離れも懸念されましたが、笑顔のお客さんで埋まったスタンドを見て、なんだかホッとしましたね。特にフェンウェイは自分が在籍した時代も含めて820試合連続チケット完売(※2)を記録。こうでなくちゃ、と改めて思いました。

 息子と一緒にピザを食べながら観戦。球場のコンコースも歩いてみました。もちろん選手時代などに経験はなかったですし、本当に新鮮でした。ここにも笑顔のファンがたくさんいて、グッズショップにも入りました。息子がグッズを買って、自分もボストンのキャップを買いましたよ。

 純粋に野球を楽しみながら、同時に「この選手は日本で活躍しそう」とスカウトのような目線でも見てしまう。昔からなんです。例えば昨季まで西武所属のエルネスト・メヒア選手。自分がメッツにいた14年3月、ブレーブスの3Aにいた彼のプレーを見ました。「上(メジャー)にはフリーマン(※3)もいる。マイナーにいるのがもったいない。どこか獲ればいいのにな…」。直後の5月に西武に入団。同年の本塁打王になりました。

 DeNAのネフタリ・ソト選手も自分がソフトバンク時代の16年オフ、プエルトリコのウインターリーグに参加した時に相手チームにいた選手。「打率も残して本塁打も打ちそう」。2人にはそんな印象を持ち、日本から取材に来ていた記者に薦めていたのを思い出します(笑い)。

 試合は午後2時12分開始。自分がプレーしていた時から思っていましたが、フェンウェイの午後の雰囲気は本当に素敵なんです。太陽が徐々に西に傾いて、その西日が外野スタンドに当たって輝いているように見える。それが本当にきれいで、現役時代から大好きです。野球っていいな。そして、この風景がずっと変わらないように…。そう思いました。(スポニチ本紙評論家)

 ※1 15日は「ジャッキー・ロビンソン・デー」も重なり、フェンウェイ・パークの観客数は3万6266人。試合はツインズに4―8で敗れた。

 ※2 フェンウェイ・パークでは03年5月15日~13年4月9日に820(レギュラーシーズン794、ポストシーズン26)試合連続でチケット完売。米4大スポーツの最長記録となった。松坂氏は07~12年にレ軍在籍。

 ※3 フレディ・フリーマンはメヒアと同じ内野手で当時24歳。ブ軍の若き主力だった。今季からドジャースと6年総額1億6200万ドル(約207億3600万円)の大型契約を結んだ。メヒアは14年5月に西武入団。同年に34発で本塁打王に輝くなどNPB通算142本塁打。
 

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