【スポニチスカウト部(10)】市船橋・片野優羽 地元で鍛える強肩強打

[ 2022年4月26日 06:30 ]

豪快な打撃で既に高校通算24本塁打をマークしている片野
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 今秋のドラフト候補選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第10回は市船橋(千葉)の片野優羽捕手(17)。中学時代は甲子園優勝校からも誘いを受けた強肩強打の大器で、生まれ育った船橋の地からプロ入りを狙う。

 全国を見渡してもプロが注目する高校生捕手は希少だ。そんなドラフト戦線で、1メートル84、94キロの恵まれた体の逸材が千葉の公立高にいる。高卒プロ入りを見据える市船橋・片野。打撃練習では木製バットをしならせ、乾いた音を響かせる。

 「地元で甲子園に行けたらかっこいい。入学時から(海上雄大)監督と“プロを目指す”と話してきました」

 中学時代、全国の強豪が大型捕手の進路に注目した。関西の甲子園優勝経験のある高校などからオファーが殺到。だが生まれ育った千葉・船橋にある市船橋を選んだ。1年秋から「4番・捕手」でチームを支える。

 3年春の時点で高校通算24本塁打。コロナ下で練習試合が少なかった公立高の選手では突出した数字だ。守備面の評価も高い。遠投110メートルの強肩で二塁送球タイムは1秒85。「肩の強さとボールストップには自信があります」と胸を張る。

 88年にドラフト外で巨人入りした捕手で、OBの伏島良平コーチが捕手としての成長を支えた。捕球技術で球審の「ストライクコール」を呼び込むフレーミング技術。「音を出すことよりもミットを止めることが大事」と金言を授かり、常に体を動かしてミットの芯で捕球することを心がけてきた。

 小学生の頃は毎週、ZOZOマリンで声援を送り「自分もここでプレーしたい」と心に刻んだ。高校最終年を迎えて精神面も成長。海上監督は「最近は日誌に“どうやったらチームが良くなるか”を書いてくる」と目を細める。昨秋の千葉大会は準々決勝で敗退し、競り負けた相手の木更津総合は今春のセンバツに出場した。甲子園出場のラストチャンスとなる夏。「勝利につながるプレーをしたい。次は絶対勝つ」。15年ぶりの聖地を手土産に夢をかなえてみせる。

 ☆球歴 小3から田喜野井ファイターズで野球を始め、御滝中では白井中央ボーイズに所属。投手、捕手、三塁手でプレー。市船橋では1年秋からベンチ入り。現在は副主将を務める。

 ☆50メートル走 6秒5。

 ☆趣味 オフの日はチームメートや父と習志野市の茜浜でシーバス釣り。「どう工夫すれば釣れるかを考えることは捕手の配球と似ている」と野球に生かす。

 ☆憧れの選手 打撃は同じ右打者の巨人・岡本和。捕手としてはソフトバンク・甲斐。

 ≪15年ぶり甲子園狙う≫最速143キロ左腕・森本哲星(3年)と片野のバッテリーで07年夏以来、15年ぶりの甲子園出場を狙う。木更津総合、専大松戸など強豪ひしめく千葉。102人の部員を率いる海上監督は「一試合、一試合成長していきたい」とまずは春季大会への意気込みを語った。コロナ下で昨年12月は1カ月の部活動停止、今年に入っても平日は3時間だけの練習が週3回に制限されるなど影響を受けた。だが、オンラインミーティングやオンラインで資料を共有するなど工夫でカバー。4月に入ってもウエートトレーニングだけの日を設けるなど夏に照準を合わせ「試合をしながら体づくりをしていくことは他の部もやっています」と語った。

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2022年4月26日のニュース