ロッテ・朗希、猫背の少年に芽生えた自覚 目立つこと苦手でも自らの影響力理解し行動に

[ 2022年4月11日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―0オリックス ( 2022年4月10日    ZOZOマリン )

<ロ・オ>ナインの手荒い祝福を受ける佐々木朗(右から2人目)(撮影・島崎忠彦)
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 【担当記者が見た佐々木朗希という男】この日もそうだ。両手を広げたガッツポーズは控えめだった。少年時代から知る人々は遠目からでもすぐに、どこにいるか見つけられるという。「あの子は、内股で猫背だから、すぐに分かる」。思わず笑ってしまいそうな“発見方法”。ロッテ・佐々木朗はちょっと猫背気味な20歳だ。

 公称は身長1メートル90だが、高校卒業から2センチほど伸びて実は1メートル92ある。明るくて朗らかな性格だが、目立つことは大の苦手。あまり目立たないようにと、自然と猫背になったようだ。以前、聞いたことがある。もし、佐々木朗希じゃなかったら――。「大学に行って、普通に就職して、東北で温かい家庭を築いて、静かに暮らしたかった。そういう生活をしたかったので、今、ちょっと困っているんです」。最初は冗談かと思ったが、3年間取材し、今は理解できる。

 岩手県陸前高田市出身。過酷な運命を歩んできた。11年の東日本大震災で父・功太さん、祖父母を失った。小6だった13年、被災者支援の一環で行われた野球大会で、ZOZOマリンのマウンドに眼鏡姿で立った。悪夢から11年。その場所で偉業を成し遂げた。

 今年3月11日。20歳は「風化させてはいけない」とまた、震災にまつわるインタビューに答えてくれた。「僕の発言だとか、少なからず影響もあるし、被災者として求められる。小さい子たちの道しるべになれたらいいなと思う」。目立つことは、今も苦手。それでも活躍することで、周囲に影響を与えることができる。内面の変化を感じた。

 昨年12月、160キロを出す自信を問うと「あまり言いたくないが、あると思う」と言った。慎重なタイプが、確固たる自信があったのだろう。この日も自身最速タイの164キロを投げ、13者連続三振、そして完全試合。チームのために、故郷のために、さまざまな使命感を持つ。人間力の成長とともに、投球も驚異的な進化を見せている。(横市 勇)

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2022年4月11日のニュース