ロッテ・朗希は「球史の怪物」 20歳記録ずくめの「完全」「世界新13連続K」「日本タイ19K」

[ 2022年4月11日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ6―0オリックス ( 2022年4月10日    ZOZOマリン )

<ロ・オ>完全試合を達成した佐々木朗(撮影・島崎 忠彦)
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 「令和の怪物」が記録ずくめの偉業だ。ロッテの佐々木朗希投手(20)が10日のオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成した。94年の槙原寛己(巨人)以来28年ぶりで21世紀に入ってからは初めて。20歳5カ月は史上最年少となった。13者連続奪三振のプロ野球新記録も樹立し、95年の野田浩司(オリックス)に並ぶ1試合最多の19奪三振。初完投となる今季2勝目、通算5勝目は球史に名を刻む白星となった。

 佐々木朗が左足を高く上げ、右腕を振り抜く。9回2死。代打で登場した昨年本塁打王・杉本を、3球連続フォークで空振り三振。2万2431人のスタンディングオベーションに、20歳右腕は両手を広げて応えた。

 「期待を感じながら投げていたけど、そこまで気負うことなくいけたかなと思います。しっかり心を調整しながら最後まで投げることができました」

 3ボールは1度のみ、外野への飛球はわずか2つ。105球、19奪三振で28年ぶりの完全試合達成に「普通に終わった感じだったんですけど…。正直、あまり意識していなかったし、打たれたらそれでいいかなと」と人ごとのようだったが、言葉とは対照的に投球は圧倒的だった。

 10球連続ストライクだった初回。2死からの吉田正の3球三振から、日本タイ記録の9者連続三振でプロ通算100奪三振に到達した。4回2死で吉田正を再びフォークで仕留めて、日本新記録と大リーグ記録に並ぶ10者連続。5回の3者連続で13者連続三振の「世界記録」だ。2年連続首位打者で昨年、規定打席到達者最少の26三振で、今季も試合前まで1三振だった吉田正。7回も163キロ直球で見逃し三振の3三振に「完全にやられました。フォーク待ちで真っすぐに手が出なかったし、真っすぐ待ちだと、フォークがストンと消える。相手が上だった」と脱帽した。

 自身最速タイ164キロを2度マークした直球と、フォークを軸に三振量産。昨年の平均球速は直球152・6キロ、フォーク140・7キロだったが、今季は159・1キロと145・0キロに。より強い直球でフォークが生き、昨年は21・8%だったフォークの空振り率が、今季は44・4%まで上昇。この日も15三振がフォークだった。今季は23イニングで毎回の42奪三振。その投球を支えるのは柔軟性で、特に胸回りの「胸郭」のストレッチに時間を割く。身長1メートル90、長い手足でのダイナミックなフォームが最大の魅力。柔らかい上体のしなりが、長い腕のしなりにつながり指先のスピードが上がる。「スピンの利いた球速、質、制球ともにいいボールが増えている」。エンゼルス・大谷が持つ日本投手最速の165キロ更新も時間の問題だ。

 プロ14試合目の初完投が完全試合。「本当に実感がなくて。帰ってから、はい、浸ります」。20歳の怪物。前人未到の2度目の快挙も予感させた。(君島 圭介)

 《20歳5カ月 最年少記録》佐々木朗(ロ)がプロ野球史上16人目の完全試合を達成した。完全試合は94年5月18日に槙原寛己(巨)が広島戦で記録して以来28年ぶり。ロッテでは73年10月10日太平洋戦で八木沢荘六がマークして以来49年ぶり2人目だ。また、佐々木朗は現在20歳5カ月。完全試合達成者では60年島田源太郎(大洋)の20歳11カ月を抜く最年少記録になった。

 この日はプロ野球新記録となる13連続奪三振を含め毎回の19奪三振(プロ野球最多タイ)。完全試合投手の奪三振数としては68年外木場義郎(広)の16奪三振を上回り最多。毎回奪三振は佐々木朗が初めてだ。

 ◇佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年(平13)11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身の20歳。大船渡3年時に高校日本代表候補合宿で高校史上最速の163キロを計測。同年夏の岩手大会は決勝で疲労を考慮されて登板せずに敗れ、甲子園出場なし。19年にドラフト1位でロッテに入団し、2年目の昨年5月27日の阪神戦でプロ初勝利を挙げた。今季年俸は3000万円。1メートル90、85キロ。右投げ右打ち。

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