広島、単独首位に浮上 522日ぶり勝利の遠藤「ここまで長かった」

[ 2022年4月11日 05:30 ]

セ・リーグ   広島1-0阪神 ( 2022年4月10日    甲子園 )

<神・広>広島先発・遠藤(撮影・大森 寛明)
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 広島の遠藤淳志投手(23)が待望久しい美酒を味わった。10日の阪神戦(甲子園)で8回途中まで5安打無失点に抑える好投。20年11月4日の巨人戦以来、522日ぶりの勝ち星を手にした。打線ではライアン・マクブルーム内野手(30)が2回に左翼ポール際へ2号ソロ。今季初の零封リレーでその1点を守り抜き、巨人を抜いて単独首位に浮上した。

 しなやかに、軽やかに…遠藤本来の姿が戻ってきた。20年11月4日の巨人戦から遠ざかっていた勝利。今季3試合目の登板で実に522日ぶりに美酒を味わい、赤い敵地ファンの声援を浴びながら喜びをかみしめた。

 「ここまで長かった。1勝できてうれしいです。去年悔しい思いをしたので、“今年は絶対にやってやるんだ”という気持ち。周りで支えてくれた人に恩返しできたんじゃないかな…と思います」

 最速144キロの真っすぐで打者を差し、チェンジアップで面白いように空振りさせた。ヤマ場は、1死から佐藤輝に右中間二塁打を許した7回。大山を遊ゴロ、糸原を二飛に仕留めると、ガッツポーズを披露した。決め球はいずれも高め直球。切れと力があった。

 20年の5勝が一転、一本立ちが期待された昨季は未勝利に終わった。「体は元気なのに球の走りが悪く」先発は4月の2試合のみ。以来、体の使い方を見直し、下半身が崩れて上体が突っ込む悪癖の矯正に努めてきた。

 「“俺、何をやってんのかな”とか“このまま終わるのかな”と思っていました」

 2軍暮らしで芽生えたネガティブな感情。それを打ち消し、トレーニングと並行しながら、先輩には「しつこいぐらい」試合や投球への考え方を問うた。結果、走者を出しても失点しても切り替えられるようになった。精神面の成長だった。

 1―0の8回2死一塁、打席に近本を迎えた場面で降板。「ランナーが1人、2人と出たら同点の流れになるので」。2軍投手コーチ時代から指導してきた佐々岡監督は、愛弟子の交代理由をそう説明し「今年の遠藤はずっと違うものを見せてくれている」と称えた。

 「やってきたことは間違っていなかったと思う。どんどん投げて結果を出して、悪かったところは反省しながらやっていけたら」

 曲折を乗り越え、心身ともにたくましくなった23歳。久々に味わう美酒の味がまた右腕を大きく成長させる。 (江尾 卓也)

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2022年4月11日のニュース