あと1本が出ず… 阪神、負け同然ドローも前向く矢野監督「自分たちができるのは勝ちをつなげて行くこと」

[ 2021年10月21日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0ー0ヤクルト ( 2021年10月20日    甲子園 )

<神・ヤ(25)>引き分けに終わり、喜ぶヤクルトナインを背に整列する矢野監督(撮影・椎名 航)
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 激痛…。阪神は20日、ヤクルト戦で今季初となる0―0の引き分けに終わった。5回無死一、二塁の好機で強攻策が失敗。9回1死二塁のサヨナラ機も後続が倒れて幕切れとなった。最後の直接対決を勝利で飾れず、ヤクルトの優勝マジックは1つ減って「3」となった。シーズンは残り4試合。かすかな望みを信じる矢野阪神には、勝ち続けるしか道は残されていない。

 あまりにも痛すぎた。自力優勝の可能性が消滅している猛虎にとって、負けたも同然のドローだった。9回1死二塁のラストチャンスも、本塁が遠い。4番・マルテ、続く2安打の糸原も凡退。今季一番の大歓声に包まれた甲子園は、一瞬にして静寂が支配した。

 「うちの立場では勝たないと状況的には厳しくなるのはわかっているんですけど、全員で精いっぱい戦った結果。どんな形でもいいんで勝ちたかったというのが正直なところですけど、この引き分けは変えられない…」

 矢野監督は懸命に悔しさを押し殺した。唯一にして最大の絶好機は5回。糸原、大山の連打で無死一、二塁が生まれた。続く7番・小野寺の初球。バントの構えを見せていたが、ベンチからの指示は強攻だった。見逃せばボールかという高め速球にバットをぶつけたが、結果は平凡な右飛。一気呵成(かせい)に畳みかけるはずが裏目となり、後続の坂本、ガンケルも凡退した。

 「(小野寺のバスターは)どうしても点が取りたかったからいろいろ考えはありますけど。でも自分たちがしっかり点を取ろうとする中でやったこと。それは自分自身が受け止めてやっていきます」

 指揮官は潮目が変わった逸機を、正面から受け止めた。先発のガンケルが5回まで2安打無失点の好投。試合中盤であることを考えると、1死一、二塁の好機が続いたとはいえ、坂本とガンケルへの代打は回避せざるを得なかった。6回以降も再び打線は沈黙…。9回零封した投手陣に、最後まで報いることはできなかった。

 「残りの試合で、(今日の)引き分けがあってよかったとできるように。優勝するにはヤクルトの勝敗が関係してくる。自分たちだけではできない部分もあるけど、自分たちができるのは一戦一戦勝ちをつなげて行くことしかできない」

 最後の直接対決2連戦は1勝1分けで終えた。残り4試合。数字の上では限りなく厳しいが、1敗でもすればさらにパーセンテージは下がっていた。奇跡は起こすためにある。最後の瞬間までファイティングポーズを崩さない。(山本 浩之)

〈0―0ドローは2年ぶり〉阪神は今季9度目の引き分け。0―0は19年8月13日の中日戦以来2年ぶり、2リーグ制以降チーム14度目。ヤクルト戦では66年6月24日(神宮)延長13回以来、55年ぶり2度目。当時は前身のサンケイアトムズ戦で、ヤクルト球団相手には初めて。 

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