楽天・西口 窮地救ったプロ初勝利 16年ドラ10「ちょっと出来過ぎ」4回1/3を1失点好救援

[ 2021年6月27日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天3ー2ソフトバンク ( 2021年6月26日    楽天生命 )

<楽・ソ>プロ初勝利を挙げた西口(左)は石井監督と笑顔でポーズを決める(撮影・尾崎 有希)
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 楽天の窮地を救ったのは、西口だ。5年目の24歳右腕。ビハインドや不測の状況で登板するのが主な役割とはいえ、この日は初回にブルペンの電話が鳴った。先発・高田孝が頭部死球で危険球退場。「ピッチを上げてつくり始めて、15球ぐらい強めに投げた」。準備時間は限られていた。

 肩は完全に出来上がっていなかったが、2死一、三塁から甲斐を146キロの直球で左飛に。直後に打線が逆転すると、2回以降は「ちょっと出来過ぎ」と自分でも驚くような好投を続けた。被安打は4回先頭の栗原に浴びたソロ本塁打のみ。4回1/3を1安打1失点でプロ初勝利を手にした。

 華やかな舞台とは縁遠い野球人生。松坂(西武)や藤川球児に憧れ、大阪の公立・山本から甲賀健康医療専門学校を経て、16年ドラフトで87人中最後の10位で楽天入りした。夢はかなえたが、過去4年で1軍登板1試合。プロは甘くはなかった。

 背水の覚悟で臨んだ今季、田中将の復帰が飛躍の一因となった。「田中さんからコミュニケーションを取ってくださるのでありがたい。しっかりしたところを見てもらいたい」。フォームのポイントなど助言をくれる先輩への恩返しの思いもモチベーションにする。

 いじられキャラとしてチームメートからも愛される存在だ。師と仰ぐ小山投手コーチいわく「偽物のミッキーマウスみたい」。そんな男がチームを3連勝で首位タイに浮上させた。守護神・松井から受け取ったウイニングボールを握りしめ「初勝利の実感が湧いてきました」とほほ笑んだ。初めて浴びたスポットライトは格別だった。(重光 晋太郎)

 ◆西口 直人(にしぐち・なおと)1996年(平8)11月14日生まれ、大阪府八尾市出身の24歳。小2から「八尾ドラゴンズ」で野球を始め、山本高を経て甲賀健康医療専門学校へ。社会人チームとして活動する同校野球部でプレーし、16年ドラフト10位で楽天入団。18年9月30日のオリックス戦でプロ初登板初先発を果たした。19、20年は1軍登板なし。1メートル83、83キロ。右投げ右打ち。

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