福島敦彦氏 接戦の好試合が多い中、目立った「2桁背番号」選手の活躍 選抜大会総評

[ 2021年4月3日 05:30 ]

福島敦彦氏
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 第93回選抜高校野球大会は東海大相模の10年ぶり3度目の優勝で閉幕した。本紙の「迫球甲子園」でおなじみの福島敦彦氏が大会を総評した。

 2年ぶりの甲子園大会は仙台育英・島貫主将のすばらしい選手宣誓で始まり、東海大相模VS明豊のすばらしい決勝で閉幕。出場選手の思いが伝わる感動的な試合が多かった。

 優勝した東海大相模はエース石田投手が全5試合に登板し2完封を含め29回1/3無失点、45奪三振と圧巻の投球で石川、求両投手も大崩れせず。総得点17と少ない中で失策1、失点3と堅い守りで競り勝った。捕手に転向した背番号4の小島選手の貢献度も高く、優勝を決める劇打に勝利への執念を感じた。

 あと一歩及ばなかった明豊は3試合で1点差勝利。原動力となった全試合無失策の堅守は日頃の錬磨だ。タイプの違う太田、京本、財原3投手の継投は、複数投手で制した東海大相模同様、球数制限が導入される中での勝ち上がり方を示した。

 大会は選抜史上初のタイブレークを含め延長戦7試合、サヨナラ6試合、1点差12試合と接戦が多かった。4試合の1―0などロースコアが多く「投高打低」だったが、コロナ下で普段の練習量を確保できなかったことも影響したように思う。そんな中で2桁背番号選手の活躍が目を引いた。決勝でも先発した東海大相模「18」石川投手、専大松戸戦で決勝ランニング2ランの中京大中京「15」櫛田選手、京都国際戦で逆転サヨナラ打の東海大菅生「18」多井選手の3人は直前の登録変更で出場。高校生は一冬越えて急成長する。上を目指し努力したたまものでうれしい現象だった。

 日本高野連を含め大会運営に携わった方々には、感染対策を徹底し大過なく大会を終えたことに深く感謝申し上げたい。球児には一段と成長し夏の甲子園に戻ってきてほしい。
 (報徳学園、慶大、中山製鋼元監督)

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2021年4月3日のニュース