連敗地獄から始まったハマの番長。亡き闘将も漏らした監督業のはかなさ

[ 2021年4月3日 13:46 ]

グランドに向かって一礼して引き上げる三浦監督
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 ハマの番長にいきなりの試練である。DeNAは開幕から二つの引き分けを挟み、5連敗中。1日のヤクルト戦では最大5点差を守れず、11―11の引き分けに終わった。三浦大輔監督は「勝てないのは監督の責任。全て監督です。責任を感じています」と謝罪した。

 現役時代もそうだった。大黒柱として負けたときは責任を背負い込む。打線の援護がなかったり、味方の守備に足を引っ張られても、決して言い訳をしなかった。開幕投手としてプロ野球ワースト記録の7連敗を喫し、一度も勝てなかったエースはよほど「開幕」に縁がないのだろう。監督としても巨人との開幕戦でサヨナラ負け。その後も継投失敗が目立ち、投手出身監督としてはふがいない。

 プロの世界は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。それが、監督業である。亡き闘将の言葉を思い出す。中日、阪神、楽天で指揮を執り、2008年の北京五輪ではメダルを逃す屈辱も味わった星野仙一氏は監督業について、よく漏らしていた。

 「勝てばうれしいよ。でも瞬間、瞬間だけ。楽しくはないんだよ」。勝利の余韻に浸るは一瞬。次の戦いに向け、頭を悩ます日々である。11年にDeNA初代監督に就任した中畑清氏には開幕前のキャンプ中に会った際、「今のうちに楽しんでおけよ」という独特のエールを送っていた。ちなみに、楽天的な性格の中畑監督はどんなに負けても、明るく楽しそうだったが…。

 開幕直前にNHKがリモートで行ったセ・リーグ監督座談会で印象的なことがあった。三浦監督は「胃薬は必要でしょうか。ストレスとか大変だと思いますので」と質問。先輩監督たちを苦笑いさせたが、昨季就任し、1年先輩の広島・佐々岡真司監督は「遠征バックにひと箱、マツダスタジアムの監督室にひと箱置いている」と正直に答えていた。

 そして今、三浦監督は胃がキリキリするような戦いを続けている。責任を背負い込むタイプだから、なおさら苦しんでいる。一つ勝っても、喜びは一瞬だろう。それが、監督業である。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2021年4月3日のニュース