若菜嘉晴氏 勝敗を分けたロッテバッテリー8回の配球の迷い あの暴投が脳裏をよぎったか…

[ 2020年11月14日 21:10 ]

パCS第1戦   ソフトバンク4―3ロッテ ( 2020年11月14日    ペイペイD )

<CS ソ・ロ>8回裏2死満塁から甲斐に勝ち越し内野安打を許した沢村(撮影・長久保 豊)
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 ソフトバンクが1点差で競り勝ったCS第1戦。本紙評論家の若菜嘉晴氏は8回に沢村と田村のロッテバッテリーに配球の迷いが生じ、勝敗を分けたと分析した。一方、ソフトバンクは試合後半の勝負どころで打線がつながり、機能したと指摘。緊張から硬かった周東、栗原ら若手が力を出せば、第2戦で一気に決める可能性もあるとした。

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 自分を信じ、味方を信じられるか。ロッテが勝ち越しを許した8回の守りは、バッテリーの微妙な心理がプレーに表れた。場面は2死満塁。沢村は直球を3球続けて甲斐を追い込んだ。ここで田村はスプリットを選択すると思ったが、さらに続けた直球がボールでカウント2―2に。フルカウントにすれば押し出し四球もあり得るだけに、次のスプリットは甘く入り、遊撃内野安打となった。

 シーズン後半のミスが影響した配球だったように思う。ロッテは10月29日のこのカードで9回1死二、三塁から抑えの益田の暴投で2者の生還を許し、逆転サヨナラ負けを喫している。脳裏に痛恨のプレーがよぎったのか、スプリットの選択が後手になった。バッテリーが互いを信じ切れなかった結果、空振り狙いのはずが高さ、コースともに中途半端な球となってしまった。

 詰めの甘さは同点に追い付かれた6回にも見られた。1点差に迫られてなお1死一、三塁、牧原の二ゴロで一塁手の井上が捕球ミスして併殺を完成できなかった。井上は一塁がセーフになった場合の三塁走者が気になったのだろう。ただ、一塁のタイミングはアウトで慌てる必要は何もなかった。随所に感じられたロッテ側の焦り。ソフトバンクに1勝のアドバンテージがある4試合制の短期決戦だけに、初戦を何としても勝たないといけないという気持ちが垣間見えた。

 ソフトバンクは4回の柳田の一発から流れを引き戻し、最後は競り勝った。中盤以降に粘り、しぶとさが出て打線がつながったのが大きかった。8回のポイントは2死一、二塁からの松田宣の左前打だ。走者を三塁まで進めたことで相手バッテリーにプレッシャーをかけ、配球に狂いを生じさせた。

 一方で経験が浅い選手たちの動きは硬かった。守備で送球ミスがあった周東、初回の満塁機で遊ゴロ併殺に倒れた栗原は、独特の緊張感から力を出せていなかった。それでもチームが勝ったのは彼らにとって大きく、シーズン同様にプレーできれば、第2戦で一気に日本シリーズ進出を決める確率は高くなる。

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2020年11月14日のニュース