「もっと意識改革を」…日本ハム主力たちが口にする“危機感”が再建の力となるか

[ 2020年11月14日 09:00 ]

<ソフトバンク練習>本多コーチ(右)、平石コーチと話をする周東(左)(撮影・中村 達也)
Photo By スポニチ

 ソフトバンクが3年ぶりのリーグ優勝を決めた20年シーズン。日本ハム担当として年間を通じてその戦いぶりを見ていたが、試合前のシートノックでその強さの一端が伝わってきた。

 ある日の日本ハム―ソフトバンク戦(札幌ドーム)の試合前のシートノック。ノッカーの本多雄一内野守備走塁コーチの徹底ぶりが目についた。プロ野球では試合前の打撃練習中にも個々で守備練習を行っているため、シートノックでは捕球の際にはじいたり、送球がそれても流れ作業のように進む場面も見てきたが、本多コーチは妥協を許していないように見えた。外野ノックの締めとなるバックホームで、ある外野手の送球がそれ、本多コーチはやり直しを命じたが、2度目も中途半端な送球になった。その外野手はそのプレーで終えようと送球した流れで内野付近まで戻ってきていたが、本多コーチは大きなジェスチャーで戻るように命じ、ストライク返球した3度目のプレーでようやくOKを出したのだ。
 2年連続5位と低迷した日本ハムは、チーム失策数75、捕逸数13はリーグワースト。奪った併殺数86も楽天と並ぶリーグワーストタイだった。これらに限らず、取れるところで取れなかったアウトが試合結果に響いた場面が今季は多く見られた。リリーフエース・宮西は、投手でいえばサインプレーのミスや四球、野手でいえばバント、守備のミスを例に出し「ミスをするのは駄目ではないし、ミスをすることによって成長する」としつつも、近年のミスの多さをこう指摘する。「ここ数年、ミスの仕方や打たれ方が同じミスを繰り返している。同じミスをし続けるというのは成長できないと思っているので、僕を含め各選手が意識を高く持ってもっと意識改革をしていかないとこのままずるずるいってしまう」と危機感を口にする。
 守備と同様に走塁面でも取るべき塁を取れないなど、緻密な野球ができなかった日本ハム。大田、西川らは「守り勝つのがファイターズの野球」という。宮西は「お粗末なプレーがここ数年は目立つかな。優勝するときは接戦をものにしないと絶対にできない。接戦の中でそういうプレーが出てしまうと、Aクラスが、優勝が遠のいていくというのがパターン」と自身の13年間のプロでのキャリアを踏まえつつ力説した。
 再び優勝争いを狙うチームに立て直すか、Bクラスに座り続ける低迷期に入るか、ここが分水嶺ともいえる。主力選手が次々に口にする危機感がチームを再建する大きな力になると信じている。
(記者コラム・東尾 洋樹)

続きを表示

2020年11月14日のニュース