宮城がオリックスの勝利呼んだ! 高卒新人が5回2失点 魂の99球に先輩たちが降板後逆転

[ 2020年10月5日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス9-2楽天 ( 2020年10月4日    京セラドーム )

<オ・楽(18)>力投するオリックス先発・宮城大弥(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 魂の99球が逆転劇を呼んだ! オリックスのドラフト1位・宮城大弥投手(19)が4日の楽天戦でプロ初登板初先発。今季の高卒新人投手では12球団最速で1軍マウンドに立ち、5回を投げ被安打7、2失点の力投を演じた。前日3日に17残塁の拙攻を演じた打線も終盤に大量点を奪い、連敗を3でストップ。次回登板での初勝利へ期待膨らむデビュー戦だった。

 宮城は胸を張って勝利の儀式に加わった。ナインとスタンドの心を打ったデビュー戦。プロ初白星は逃しても、間違いなく連敗脱出の立役者だった。

 緊張の初回。記念の第1球から堂々と9球連続で直球を続け、連打で無死一、二塁を背負った。「これは、やばいな…と思いました」。強心臓の19歳は、もちろん顔に出さない。鈴木大を右飛に抑え、泣く子も黙る浅村を147キロで空振り三振に仕留めた。

 「自分としては、自信になった球だと思います」

 ピンチで見せる粘り腰も、ルーキーの域を超えていた。同点にされた直後の3回1死一、二塁で再び浅村を左飛。4回2死二塁から与えた2点目は、自分の左足に当たってコースが変わる不運もあった。観戦に訪れていた父・享さん、母・礼子さんの前で1点劣勢の5回2失点で降板。ひたむきな姿は先輩たちの奮起を促した。

 同点にした7回1死満塁から伏見が右中間へ走者一掃の適時三塁打。前日3日に4度も逸したフルベースに快音が生まれ、宮城の黒星も消えた。「ホントにいい投手。必死な気持ちが感じられるし、シーズン終盤になったけど、そういう姿を僕たちも忘れちゃいけない」。11歳年上の女房役が“波及効果”を口にすれば、中嶋監督代行も「合格点というより、いい投球だったと思います」と“一人前”の評価を与えた。

 次回に関し、指揮官は「ローテーションという感じじゃない。それは育成として間違っていると思うので」と間隔を空けることを明言。向上心の塊も、99球から得た課題に瞳を輝かせた。「投手として甘いところを直せば、もっと球数少なくアウトを取れると思います」。遠くない未来に手にする1勝が飛躍の2021年を約束する。 (堀田 和昭)

 《球団では由伸以来3年ぶり》宮城(オ)は今季の高卒新人投手では最速の1軍デビュー。チーム高卒新人のプロ初登板初先発は17年の山本以来3年ぶり。5回7安打2失点で勝敗つかず、チームでは阪急時代の78年三浦広之以来、42年ぶりの高卒新人初登板勝利はならなかった。なお前記の山本もデビュー戦は5回1失点で勝敗つかず。2度目の先発でプロ初勝利を挙げた。

 ▼宮城の父・享さん ひたむきに、ずっと自分のやりたいことを続ける、手のかからない子でした。今日はどう転んでも、いい勉強になる。プラスにして頑張っていってほしい。

 【宮城大弥はこんな選手】
 ☆生まれ&サイズ 2001年(平13)8月25日生まれ、沖縄県宜野湾市出身の19歳。1メートル71、83キロ。左投げ左打ち。
 ☆球歴 4歳から「志真志ドラゴンズ」で野球を始め、嘉数中では「宜野湾ポニーズ」に所属。興南では1年夏からベンチ入りし、1、2年夏に甲子園出場。3年時はU18W杯に出場。
 ☆ダルビッシュが絶賛 昨夏沖縄大会決勝では延長13回229球を熱投した末に沖縄尚学に7―8で惜敗。ダルビッシュがツイッターに「投げ方、球筋、総合的に好きすぎる。俺あんなピッチャーになりたかったわぁ」と投稿した。
 ☆ハングリー精神 幼少期はユニホームを買えないほど困窮した家庭で育ち、1週間連続で具のないカレーライスを食べたことも。
 ☆背番号13 山岡が昨季まで3年間付けた番号を継承。
 ☆最速153キロ 6月25日のウエスタン・リーグ阪神戦で自己最速153キロを計測。同リーグは11試合で5勝2敗、防御率2・90。

続きを表示

この記事のフォト

2020年10月5日のニュース