山田って? 履正社破ったのは大阪の無名公立校 初の近畿大会出場 指揮官も驚き「夢の中というか…」

[ 2020年10月5日 05:30 ]

秋季大阪大会3位決定戦   山田2-1履正社 ( 2020年10月4日    シティ信金スタ )

<履正社・山田> 履正社を2-1で破り近畿大会出場を決め大喜びの山田ナイン (撮影・亀井 直樹)
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 各地で準決勝、3位決定戦、決勝が行われた。大阪では大阪桐蔭が2年連続9度目の優勝。3位決定戦では公立の山田が履正社を破り、1984年の学校創立以来、初めての近畿大会出場を決めた。

 最少得点差を守り切ると、マウンドに歓喜の輪が広がった。学校創立以来初、さらに大阪の公立校としては1994年の市岡以来、26年ぶりの秋季近畿大会出場。金子恭平監督(41)は「夢の中というか…彼らに感謝です。現実に僕自身がついて行っていない」と驚きの表情だった。

 先発のエース・坂田凜太郎(2年)は緩急を付けた投球を徹底。カーブ、スライダーなどでカウントを稼ぎ、「130キロ出るかどうか…」の直球を勝負球に使って9回を6安打1失点で投げ抜いた。

 エースの粘りに扇の要が応える。4番・横田那音(1年)は0―1の9回1死二、三塁から左越えに値千金の逆転2点二塁打。監督から「おまえでダメなら仕方ない」と激励されて向かった打席。「ベンチを見たら、泣いている人もいて…僕も泣きそうになりました」と感無量だった。

 お笑い芸人フットボールアワー・後藤輝基の母校として知られ、野球では無名。練習場は他部と共用で、65メートル×90メートルの校庭を3分割する。フリー打撃は週1~2度を早朝に実施。安全確保のため金属バットは使用できない。ブルペンも坂田によると「頑張って3人が投げられる」程度。“普通の公立校”が不戦勝の1勝を含む6勝を、しかも甲子園大会優勝経験のある上宮、履正社など全て私立校から挙げた。

 大阪の公立校で選抜大会に出場すれば、同じ94年の市岡以来。坂田が「つい最近まで関係のない世界だったのが、少し見えてきてビックリしています」と明かせば、横田は「行きたいです」と言い切る。近畿でもチーム一丸で粘り、聖地への道を切り開く。
 (桜井 克也)

 ▽山田高等学校 大阪府吹田市にある府立高校。1984年に府立高等学校等条例に基づいて設置される。万博記念公園に隣接し、校訓は「誠実・明朗」。主な進路は関西圏の私学が中心。部活動も盛んで運動系、文化系合わせて29の部活動がある。同校出身の主な著名人はお笑いコンビ「フットボールアワー」の後藤輝基、プロバスケットボール選手の今野翔太ら。

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